■GMOフリーゾーン運動とは
「GMOフリーゾーン運動」とは、GMO(遺伝子操作作物)の作付けを拒否する地域(フリーゾーン)を拡げるための取り組みです。「この農地ではGMOを作らない・作らせない」と宣言する耕作地や、「この店ではGMOを販売しない」と宣言する店舗が世界中に拡がれば、地球上からはGMOが駆逐されることになります。
GMOフリーゾーン運動は、イタリアから始まりました。イタリアでは、1980年代にマクドナルドのローマ進出を機にスローフード運動が始まりました。スローフード運動とは、食の画一化に反対して多様性を尊び、グローバル経済に対抗して地産地消を唱え、多国籍企業の食の支配から地元の中小産業を守ることを訴えました。多国籍アグリ企業が展開するGMOも食の画一化をもたらし、輸入食材の流入を促進し、地域の食文化を崩壊させ、小規模農家の隷属化を進めるものです。スローフード運動のマインドが、GMOフリーゾーン運動につながり、イタリア各地で「GMOフリーランド」が宣言されました。その後、環境団体「FoE(Friends of the Earth)」が英国でキャンペーンを展開したのを機に、世界へと拡がったのです。
日本でのGMOフリーゾーン運動が始まったのは2005年。滋賀県でGMOフリーゾーン・キックオフ集会が開催されましたが、圃場には「遺伝子組み換え作物は植えません」と書かれた畳3畳大の看板が設置されました。その後、毎年各地で全国交流会が開催されてきました。その成果もあって、日本ではGMOの商業栽培はまだ行われていません。登録されたフリーゾーンは、農地107,744.5ヘクタール、牧場321.7ヘクタール、森林4,520.4ヘクタール、海(※)120,017.7ヘクタールが登録されています(2025年2月現在)。
※海のGMOフリーゾーンでは、遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術によって遺伝子操作された生物(魚介や海藻など)の養殖をしないことを宣言。
しかし、日本は世界でもっともGMOを消費する国の1つで、GMナタネ、GM大豆、GMトウモロコシ、GM綿実などのGMOが、毎年大量に輸入されています。それに加えて、近年問題となっているのが、ゲノム編集技術によって遺伝子操作された「ゲノム編集食品」です。日本は世界で唯一、スーパーマーケットでゲノム編集食品を買うことができる国なのです。
■アジアで連帯してGMOフリーを!
2005年から始まったGMOフリーゾーン運動全国交流会ですが、今年度の開催が20回目となります。20周年記念大会として、アジア諸国からゲストをお招きして「アジア大会」を開催することになりました。
いま、なぜアジアとしての連携が意味を持つのでしょうか。
インドでは殺虫性(Bt)綿が、バングラデシュではBtナスが栽培されています。さらに、最近、ゲノム編集イネの栽培も承認されました。フィリピンではBTナスや、「ゴールデンライス」と呼ばれる遺伝子組み換えコメの栽培が認可されていましたが、農民や環境団体が訴訟を起こしたことで栽培がストップしています。一方、英国企業が開発したゲノム編集バナナや、日本企業のゲノム編集トマトの流通が認可されました。台湾や韓国ではGMOの栽培は行われていませんが、日本同様にGMOを輸入しています。また、日本のゲノム編集魚の開発・養殖をしている企業は、インドネシアやタイ、バングラデシュなどでのゲノム編集魚事業の展開を画策しています。
2024年に開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)の「気候と健康」をテーマにしたセッションで、アジアの水田からは温室効果ガスのメタンが大量に発生しているから乾田化が必要だとの発言が飛び出しました。発言者はモンサントを買収したバイエルのCEOで、気候変動対策として同社が開発した遺伝子組み換えイネと除草剤が有効だと主張したのです。日本をはじめとするアジアの水田で、遺伝子組み換えイネの普及を画策しているのでしょうか。今後、ゲノム編集食品の開発がさらに進むことが予測されるいま、アジア全体としてGMOフリーゾーン運動を展開する必要があるといえるでしょう。
2026年3月に開催される「GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会」には、台湾・韓国・フィリピンでGMO反対運動を展開しているメンバーが来日し、各国での取り組みが報告され、今後の連携についてのセッションが予定されています。日本やアジア各国で、「ゲノム編集食品や遺伝子組み換え食品がない世界」を目指してどのような動きがあるのかを知ることは、日本での今後の活動の参考となるはずです。
GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会には、OKシードプロジェクトも実行委員会として参画しています。OKシードプロジェクトのサポーターのみなさんの参加をお待ちしています。
(原野好正:GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会 実行委員長)
■これから開催される関連イベント
| 2025.12.24 | GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会 プレイベント第1弾 遺伝子操作稲はいまどうなっているか 申し込みフォーム |
| 2026.01.31 | GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア⼤会 プレイベント第2弾 ゲノム編集⾷品をめぐる世界の動向 申し込みフォーム |
| 2026.03.07 | GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会 ─ GMOのない世界へ ─ 申し込みフォーム(準備中) |







