【たねまきコラム】食べもの変えたいママプロジェクトみやぎ

お知らせ

【たねまきコラム】第3回目は宮城県で活動する「食べもの変えたいママプロジェクトみやぎ」さんからコラムが届きました!
宮城県で精力的に活動している食べママみやぎさん。食の問題に対し、いつも当事者としてまっすぐ、そして着実に取り組んでおられ、全国の子育て世代から多くの共感を得ています。
エネルギッシュな活動の原点、子育て世代としての問題意識など、リアルな「想い」を綴っていただきました。

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「ひとりでも声を上げることがたねまきになる」

私たち「食べもの変えたいママプロジェクトみやぎ」は、日本の食と農の問題を何とかしたいと願うママ3人です。
私たちは元々友人同士という訳ではありません。
一緒に活動をし始めたのは種苗法改正がきっかけでした。

ひとりは、遺伝子組み換え作物の問題に取り組むゼン・ハニーカットさんのお話を聴き、「Moms Across America」の活動を宮城でも取り組みたいと「食べママみやぎ」を立ち上げ、仙台市の学校給食の公費負担と国産食材を使用することなどを求めた署名活動をしていました。そこに、山田正彦さんの種苗法改正に関するブログ記事で「一人でも請願は出せます」とあるのを読み、仙台市や宮城県に請願を出したいと考えたひとりが、共通の知人を介して共に活動するようになり、現在に至ります。
活動が下火になりそうな時、誰かが「この活動やる?」と投げかけをしてくれて再始動するような良いバランスで成り立っています。ゲノム編集トマト苗受け取り拒否要望書を宮城県でも全自治体に出そうという活動も、そうやって始まりました。

北海道は179市町村。一方宮城県は35自治体で済みます。これなら私たちでもできると考えました。ただ、「北海道 食といのちの会」は多くの団体会員を擁する大きな会です。小さな任意団体の私たちが確実に回答を得るために、私たちが利用する生協あいコープみやぎに呼びかけ団体として加わってもらい、要望書提出に賛同する個人・団体・生産者を募った上で各自治体に要望書を郵送することにしました。約1.5か月程度で、個人1017名、21団体の賛同を得ることができました。
賛同を募る中で、ゲノム編集食品の安全性に問題性があるかどうかは判断がつかないという声もありました。ただ、少なくとも選択権が実質的にない子どもたちがターゲットになっていること、消費者の選ぶ権利が担保されていないという点では一致できるとして賛同していただいた団体もありました。

個人の活動、特に女性やご家族のいる方にとってハードルになり得るのは、連絡先として自分の住所や電話番号などを記載する事と、金銭的負担ではないでしょうか。今回、私たちは幸運なことに生協を事務局として記載でき、郵送費や要望書に同封した『ゲノム編集~神話と現実』の代金を負担してもらうことができました。大きな団体は既存の活動が多く、なかなか新しい事に取り掛かれないというケースもあると思います。思いがあり、実務に取り組める個人や小さい団体と、既存の団体が上手く連携することで、カバーし合いながらより良い活動に取り組める可能性は十分あると思います。

宮城県は2022年4月時点での回答率は40%で、「受け取る」回答はゼロ、「受け取らない」回答は8自治体、その他が6自治体と、残念ながら北海道に比べ回答率が低かったため、再度各自治体に再度の問い合わせを行うことを決めました。12月にこの活動に加わって下さる方を募ったところ、全部で9名のグループとなり、各自治体への電話かけを分担して行いました。現在の回答率は8割を超え、「受け取る」回答はゼロ、「受け取らない」回答は14自治体まで増えました。宮城の行政職員はゲノム編集という言葉自体、初めて聞いたという反応がほとんどでした。電話をしたのち「ネットで調べた」という声もあり、まず知ってもらうことに意義があると強く感じました。
この活動を通して、宮城県で同じ志を持つ仲間が増え活動の輪が広がりました。石巻市や登米市では、学校給食をオーガニックにすることを目標とし、大崎市や栗原市ではオーガニックビレッジに名乗りを上げようとしているそうです。現役の地方議員さんも加わっており、さらなる活動の高まりに期待が膨らんでいます。
8月のサポーターミーティングでは東北地方のまだ取り組んでいない地域にも呼びかけを行い、青森県でも活動が広がっています。

さて、ここまで読んでいただき、どんな印象を抱かれたでしょうか。
この活動にどれだけの意味があるの?と思った方もいるかもしれませんね。
ひとつ、確実に言えることがあるとすれば、私たちはそれぞれの活動を通して確実に成長しました。
文書を作る、チラシを作る、賛同を得るために話をする、行政の連絡先を調べて電話をする、知らない者同士がオンラインミーティングで話し合ってひとつのことをする…
思ったようにできなかったことも含め、あらゆることが糧となりました。

残念ながら、2016年のTPP並行協議で、日本政府は「多国籍企業や投資家の利益のための政策をとる」と約束しています。その結果、種子法を廃止し日本の公共種子事業をやめさせ、農業競争力強化支援法により国や県で開発された種苗の知見が企業に譲渡されています。種苗法改正でこれまで許されていた自家採種を制限し、農作物検査法も改正され、2023年から遺伝子組み換え表示実質禁止、ゲノム編集食品安全性審査と表示不要で販売など…次から次へと、新しいビジネスのための道が用意周到に開かれています。これに対抗し、食の主権を取り戻すには、市民ひとりひとりが経験や知識を積み、主体的に動いていく力をつけ、コツコツとたねをまくことが、実は近道なのではないかと思っています。

知識が完璧でなくても、活動の仕方がたどたどしくても、大きな組織や古くからの知り合い同士でなくてもできることはたくさんあると実感しています。
大木だって、最初は弱々しい芽から成長するのです。

食べもの変えたいママプロジェクトみやぎ

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