オンライン学習会:基本的人権としてのタネが奪われる~改正種苗法で加速するUPOV体制強化への懸念~

UPOV条約問題

 種子法が廃止されてから5年、種苗法改正が完全施行されてから1年が経ちました。いま、タネはどうなっているのでしょうか。種苗法改正に至る経緯を改めておさらいしながら、タネの現状、そして種苗法改正根拠の1つにもなった国際的な取り決めUPOV条約について学びます。特に、東南アジアの人々から上がっている声を共有し、私たちの食がどこに向かっているのか、タネを通して考えます。

※今回の学習会はOKシードプロジェクトの主催企画ではなく、同様の問題に取り組む団体と共催で開催しますので、サポーター限定ではありません。
ぜひご友人などお誘いあわせの上、ご参加ください。

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 UPOVのことをご存じでしょうか? ユポフと読みます。実はこれは日本で種子法が廃止されたり、種苗法が改正されたりした動きの大元になったものです。

 大きな種子企業がその知的財産権を世界各国政府に守らせるために1961年に作った国際条約に基づく国際組織で、正式名称をフランス語でUnion Internationale pour la Protection des Obtentions Végétales、それを略してUPOVと言います。1978年、1991年にUPOV条約が改定され、特に1991年の改定では種子企業の知的財産権の優越が強化されます。

 日本ではこの条約が1998年に批准され、それ以降、日本のタネのあり方は徐々にですが、大きく変わっていくことになります。公的種苗事業の民営化がめざされ、2017年の種子法廃止や2020年末の種苗法改訂はその仕上げのプロセスと言ってもいいでしょう。このプロセスの中で、日本はタネを作れない国に変わりつつあることをご存じでしょうか? さらに今後、日本のタネはとても危うくなっていくことが危惧されます。

 また、実はこの動きは国内に留まらず、世界のタネのあり方を変えつつあります。2012年頃からは特にラテンアメリカ諸国で農家のタネを奪う「モンサント法案」が続々と登場してきますが、これもこのUPOVと大きな関係があります。そして、現在、このUPOV条約の押しつけがアジアやアフリカの諸国に押し寄せています。欧米でもタネのあり方をめぐり、さまざまな騒動が起きています。誰がそんな動きを作り出しているのでしょうか?

 今後、私たちに押しつけられるタネはゲノム編集されていたり、遺伝子組み換えされていたり、放射線育種で作られた種子になっていく懸念が大きくなっています。遺伝子操作されていない、地域の環境にも、文化にも合ったタネを守っていくためにも、このUPOVをめぐる動きを知る必要があります。そこで、OKシードプロジェクトでは、UPOVについて学ぶ機会を、同様の問題に取り組む団体と共催で作ることにしました。

 ぜひ、この学習会にご参加ください。
 このUPOVの問題は今後、継続的に海外の農家や市民ともいっしょに考える機会を作ること含めて取り組んでいく予定です。ご注目いただければ幸いです。


基本的人権としてのタネが奪われる~改正種苗法で加速するUPOV体制強化への懸念~


<共催>
(50音順):OKシードプロジェクト/家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)/日本消費者連盟/農民運動全国連合会

<概要>
日時:2023年8月8日(火)18:30-20:30(開場18:20)
形式:オンライン
参加費:無料
お申込み(要事前申し込み):https://forms.gle/TWSt3rqxqGf8v87q6

<プログラム>
・開会あいさつ「UPOV(ユポフ)って何?」 日本消費者連盟
・UPOV条約下で激変した日本の種苗:印鑰智哉(OKシードプロジェクト)
・UPOVと海外の動き:廣内かおり(日本消費者連盟国際委員会)
・生産者からの声:齋藤敏之(農民運動全国連合会)
・質疑応答、意見交換
・閉会あいさつと今後について 日本消費者連盟

<UPOV(植物新品種保護国際同盟)とは?>
植物の新品種の保護に関する国際条約に基づく国際同盟。この同盟の条約は1978年版と1991年版があるが、現在加盟できるのは1991年版のみ。品種改良した品種の無許諾利用を禁止し、育成者権を国を超えて強化することを目的としている。食料の権利を確保するためには、各国の食料、農業の事情に合わせた柔軟な対応が必要だが、UPOVへの加盟によって厳格な育成者権の保護が課されるなどの問題が指摘されている。2023年4月時点での加盟国・地域数は合計78。

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