【NEWS!!】日本有機農業研究会、日本オーガニック会議が、「有機農業推進基本方針 骨子(案)」に「重イオンビーム育種」技術の禁止を含む「有機農業四原則」の明記を要求

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農林水産省は有機農業推進基本法(2006年制定)に基づく、国レベルの「有機農業推進基本方針」の見直しを行っています。2026年3月24日の審議会では、改定に向けた同「基本方針 骨子(案)」が公表されました。この骨子(案)の問題点を久保田裕子(OKシードプロジェクト共同代表)が解説します。


【関連資料】
有機農業推進基本方針 骨子(案)の概要(図示)
有機農業推進基本方針 骨子(案)の本体

有機農業に「経済との調和」や科学技術イノベーションは不適当

 全体としての問題は、現行「基本方針」(2020年4月)の後に出された「みどりの食料システム戦略」(2021)とその「みどりの食料システム法」(2022)の工業化の論理による生産性主義を強める論調が有機農業の世界にまで色濃く及んでいることです。

 「骨子(案)」の冒頭の「基本的な事項」には、「国際的に経済と環境の両立をイノベーションで実現しようとする動き」があると、あたかも有機農業推進にも経済との調和をイノベーションで図ろうとするかのような記述がみられます。

 「広域流通」、「大ロット化やスマート農業の利用等による実需者の需要に対応した産地づくりの推進」、規模拡大による「低コスト化」などが目立ち、地域における生産者と消費者等関係者のつながりを重視することが稀薄です。

 有機農業推進法における「有機農業」は、たとえ慣行農業の農政があいかわらず工業化の方向を向いていようとも、「有機農業が農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。)を大きく増進し、かつ、農業生産に由来する環境への負荷を低減するもの」だからこそ、国・地方公共団体が総合的施策で推進する責務がある、と目的に定めています。経済との調和やイノベーションはなじみません。

「有機農業四原則」を明記し「重イオンビーム育種」・「ゲノム編集技術」の禁止を明記すべき

 有機農業は世界的な連携で進められています。「みどりの食料システム戦略」は、2050年の目標値(KPI)に「有機農業を全農地面積の25%・100万ヘクタール」を掲げましたが、その際に、その有機農業とは「※国際的に行われている有機農業」によると、わざわざコメ印を付けた注書きがあります(みどり戦略・本体、p.6など)。

 「国際的に行われている有機農業」の水準(規格)として日本政府が準拠すべきなのは、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドラインCAC/GL 32-1999」(コーデックス有機ガイドライン)ですが、もともと、それに大きな影響を与えたのは、日本の有機農業団体も連携している国際有機農業運動連盟(IFOAM-Organics International(以下、IFOAM(アイフォーム)と略)です。

 IFOAMは現在、「世界共通の有機生産・加工の規範」(2014年版)として、有機農業の四原則、定義、共通有機生産加工の要件、共通有機生産・加工基準及び認証を公表しています。そのほか、「遺伝子組み換え」についてのポジションペーパー(立場表明)、「有機生産システムにおける育種の適合性(ポジションペーパー)」等も公表しています。

 これらのIFOAMの立場は、新品種の開発(育種)については、有機農業の原則と予防原則に基づき、生物(作物)が本来有している「ゲノム」(遺伝子配列総体)に対して工学的な人為的技術介入(ゲノム編集、組み換えDNA技術、重イオンビーム等の放射線育種等)など、遺伝子を改変させるプロセス(過程全般)の介入があれば、それを有機認証の対象外として、禁止技術としています。

 そして、このような考え方を「有機農業の四原則」として、「健康(Health)」「生態系(Ecology)」「公正(Fairness)」「配慮(Care)」を挙げています。

IFOAM-Organics Internationalのウェブサイト 
参考: 【報告】FFPJ第37回講座:「有機JAS」で重イオンビーム放射線育種は認められるのか?!(久保田裕子)

 日本有機農業研究会および日本オーガニック会議は、有機農業基本方針においても、こうした有機農業の原則を明記し、それによる「重イオンビーム育種」利用の種苗を禁止するよう要求しています。

日本有機農業研究会の「有機農業の推進に関する基本方針 骨子(案)」に対する意見
新たな環境直払交付金」について「有機農業」に関する要望書

継続的な「有機農業」への「環境直払い」が必要

 そしてまた、現在、農林水産省は「水田活用直接支払交付金」の見直しを行っていますが、その中の「有機農業」への「環境直払い」をそのまま反映させることになっています。それは、慣行農業から有機農業への「転換」、既存の有機農業農家の「面積拡大」及び新規の取り組みを対象に5年間を区切りにして「環境直払い」を行うという案です。

 現行の「環境保全型直接払交付金」では、「国際的に行われている水準(以上)」の有機農業が行われている圃場、すなわち「同一圃場」での「有機農業」の取り組みに対し、毎年更新して申請することができ、継続的に直払いが行われています。ところが、来年度以降は、5年間の事業計画書を提出して「みどり認定」を受けることが要件に加わり、しかも5年間で区切り(打切り)という案になっています。

 有機農業を継続すること自体が慣行農業などに比べて大きく環境負荷低減に寄与することになる実態を直視し、「同一圃場・同一取組み」を継続して支援することが求められます。

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