消費者の6割はゲノム編集食品の表示を求めている
地方議会で、ゲノム編集食品の表示を求める意見書の採択が続いています。
新しいゲノム編集食品の届け出は2025年4月以降に新たに3品目が受理され、10品目となりました(2026/01/16現在)。一方、消費者庁が実施した「食品表示の関する消費者意向調査(令和6年度)」で「ゲノム編集食品の表示はいらない」との回答は13.9%のみで、約6割の消費者は表示を求めています。
しかし、現行の制度ではゲノム編集食品の届け出は任意であり、しかも表示義務はありません。たとえば関東圏の一部のスーパーで販売されているゲノム編集トマト「シシリアンルージュハイギャバ」では、商品棚のプライスカードやポップには「血圧を下げる」などの機能性が大きく掲示されていますが、ゲノム編集食品であることはわかりません。この商品の場合、パッケージの裏面に小さくゲノム編集食品であることが自主表示されていますが、多くの消費者はゲノム編集食品であることに気付かずに購入している可能性があります。今後、店頭に並ぶゲノム編集食品が増えてきた場合、さらなる混乱が生じることは必須でしょう。
消費者基本法では、消費者は商品などに関する正確かつ充分な情報を得る権利があり、また自分の意思で商品などを選択できる権利があるとされています。現行の表示制度では、この消費者の知る権利・選ぶ権利が担保されているとはいえません。ゲノム編集食品を食べたいか否かにかかわらず、表示の義務化は必要なのではないでしょうか。
増え続ける「意見書」の採択
「意見書」とは、各地の都道府県議会や市町村議会から国会や政府機関に向けて提出される文書のことです。地方自治法で定められた地方議会の権限の1つで、現行制度の改善などを求める要望などが書かれています。
ゲノム編集食品の表示を求める意見書も、毎年、いくつかの地方議会から提出されていますが、2025年度の12月議会では新たに9つの市町の議会から意見書が提出されたのを確認できました(2026/01/16現在)。これで累計44議会(県議会6/市議会29/町議会9)からの意見書提出が確認できました。
12月議会の意見書採択で特筆すべきは、埼玉県での動きでしょう。埼玉県下3市2町の議会で意見書が採択されましたが、これは生活クラブ生協を中心とする市民団体の働きかけによるものだそうです。このような市民からの要望が議員や議会に伝わって意見書として採択されることは、まさに民主主義の利点の1つではないでしょうか。
また、北海道小清水町議会の場合は、ある議員が提案した意見書案が、およそ1年越しで採択に至ったそうです。これはこの議員がほかの議員たちとコミュニケーションを取りながら、意見書の意義を真摯に伝えた成果だと思われます。
12月議会での採択のもう1つの特徴は、議員提案だけでなく、陳情や請願など住民提案の割合が多いことです。請願は紹介議員が必要なので、提案する市民と議員とが事前に協力体制を築くことが必要です。一方、陳情の場合、紹介議員は不要なので陳情書を議会事務局に提出すれば受理されますが、付託された委員会での審議で不採択となった場合は、本会議で審議されることなく審議終了となります。そのため市民から議員への働きかけがない場合は、“打率”は低くなります。
いずれにしろ請願や陳情で提案された意見書が議会で採択されたということは、ゲノム編集問題や食品表示問題に関心の薄い議員にもその必要性が伝わったということでしょう。今後、同様の現象が各地で増えるのではないでしょうか。
議員への理解を深めるためには、地域で開催される学習会に議員参加を呼びかけたり、選挙の際に候補者アンケートを実施することも有効でしょう。「『表⽰して!ゲノム編集⾷品〜地⽅から国に声を届けよう〜』プロジェクト」(呼びかけ団体:OKシードプロジェクト/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/日本消費者連盟)では、議員向けの説明資料(レク資料)や選挙候補者へのアンケートひな形を作成しています。下記からダウンロードして、どなたでも自由に利用できます。
議員レク資料「ゲノム編集食品表示は、なぜ義務化されるべきなのか」 PDF
選挙候補者へのアンケート(ひな形) PDF Word
■不採択の議会も
しかし、意見書が採択されなかった議会も、現時点で3件確認されています。
この記事で紹介した各議会での意見書採択情報は、おもに議会事務局のウェブサイトに掲載された情報を検索することで確認しています。一部の地方議会では審議結果の一覧や速報などを比較的早いタイミングで公開するところもありますが、多くの議会では数か月後の議事録公開まで検索でヒットしません。今後、議事録公開が進むと、不採択情報が増える可能性もあります。
OKシードプロジェクトでは、意見書を採択した自治体のマップ&一覧を公開しています。このマップ&一覧に記載がない情報をご存じの方は、下記のフォームから情報提供をお願いします。採択された情報だけでなく、否決(不採択)された情報も、ぜひお知らせください。
(原野好正:OKシードプロジェクト副事務局長)
情報提供フォーム:ゲノム編集食品の表示を求める地方自治体
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