【VOICE!!】 「いのち」へのまなざしを育む一歩 — 絵本「おなかがいっぱいにならない ふぐ」発売決定

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 ゲノム編集魚を開発、生産しているリージョナルフィッシュ社の京都府宮津市からの事実上の「撤退」は、市民が粘り強く声を上げ続けた成果でもあります。宮津の海といのちを守るために不屈の奮闘を続けてきた、地元宮津市の市民団体「宮津∞麦のね宙ふねっとワーク」の共同代表である井口NOCOさんの絵本が、ついに2026年1月20日に発売されることが決まりました。タイトルは「おなかがいっぱいにならない ふぐ」です。

 食べても食べても「おなかがいっぱいにならない」ように、人間によって遺伝子を壊されたフグ。その存在を初めて知ったとき、言葉にできない衝撃と悲しみを覚えました。6歳と9歳の息子を持つ母親として、私の日々の願いは「子どもがおなかいっぱいで健康であること」というささやかなものです。そしてそれは、世界中のどの子も、そして人間だけでなくすべての生きものに対しても同じです。倫理的な問題を孕み、「拷問養殖」とも批判されるゲノム編集魚の問題に胸を痛めながら、食や環境など、あらゆる問題の根底にある人間の傲慢さや愚かさに、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

 福島第一原発事故のあと、南相馬市のある農家さんが「泥がないとツバメが巣を作れないから」と、稲作ができなくなった田んぼに水を張り、代掻き(しろかき)をしたというエピソードがあります。田んぼで多くの生命を育んできた農家さんならではの、いのちを慈しむまなざし。今の食や科学技術の現場に欠けているのは、倫理観以前にこの視点かもしれません。

 ある日、長男から「ゲノム編集っていいことなの?悪いことなの?」と聞かれました。「もし、あなたのおなかがいっぱいになる遺伝子を壊されて、食べても食べても満たされなかったら、どう思う?」と私が問い返すと、彼は少し考えて、「すごく嫌だし、悲しい」と答えました。その「悲しみ」の正体は何なのか、あの日深めることができなかった問いへの答えに近づくための導き手が、このNOCOさんの絵本なのだと感じています。

 子どもに「いのち」や倫理をどう伝えるかは、親にとっての大きな課題であり、一生続く哲学的な問いでもあります。この絵本は「ゲノム編集」という難しいテーマを扱っていますが、作画を担当する野田尚さんの描くやわらかでカラフルな「ふぐくん」や海の生きものたちの姿から、多様ないのちの美しさや喜び、そして悲しみに心を動かされます。この絵本が描く悲しい結末を見つめることは、いのちへの誠実なまなざしを育む一歩になるはずです。

 「世界中のどこでも、こんな悲しい生きものを作り出さないでほしい」というNOCOさんの祈りが、多くの子どもたちに届くことを心から願っています。

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《読み聞かせ絵本『おなかがいっぱいにならない ふぐ』絵本の予約を開始しました!》


よみきかせ絵本 『おなかがいっぱいにならない ふぐ』
さく:いぐち のこ え:のだ たかし

【絵本について】
2021年 日本三景天橋立のある海のまち 京都府宮津市で、遺伝子操作ゲノム編集のトラフグがふるさと納税返礼品になりました。
取り下げを求めて、草の根アクションを続けてきた 釣り船の船長 NOCOと、京都府綾部市の百姓画家 野田 尚が子ども達に伝えたい 小さな小さないのちの物語。
津波で海に放り出されたふぐくんの見る夢は…?

定価 1000円(税込)別途送料  200円
発行 ちえよせ書房

※発刊前の為 発送は2026年1月20日以降になります。
※卸売や10冊以上のご注文の場合は送料が変更になりますので、事前にご相談ください。

◆ご予約はコチラから
https://forms.gle/wgTLmiEmQgUrv2u36

◆ゲノム編集魚について、詳しくはこちら
https://v3.okseed.jp/gefood/fish

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