「あきたこまちR」問題に関するプレスリリース

プレスリリース

「2025 年『あきたこまちR』問題全国ネットワーク」および OKシードプロジェクトでは、「あきたこまちR」問題について、院内集会、オンライン署名、秋田県への申し入れなどを行っています。

240920_あきたこまちR問題プレスリリース

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「『あきたこまちR』 重イオンビーム放射線育種 なにが問題?」チラシ

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経緯

 秋田県は、2025年から同県のお米の7割以上を占める「あきたこまち」を、新品種「あきたこまちR」に全量切り替えをします。この問題に対して、私たちは、秋田県だけの問題ではない、また、生産者(農家)だけの問題でもなく、これまで「あきたこまち」を食べてきた何万人、あるいは何千万人という全国の消費者に関わる問題であると、消費者の立場からの集会を開いてきました。
 直近では2024年6月14日に、2025年産米から生じる銘柄名<あきたこまち>により引き起こされる不当な虚偽の表示問題(「あきたこまちR」も表示上は銘柄名<あきたこまち>とだけ表示される)に対し、消費者庁を呼んでその問題点を明らかにし、「消費者の知る権利」「選択の権利」が侵害されないよう未然の措置を申し入れる院内集会を開きました。

放射線重イオンビームで遺伝子を改変した「あきたこまちR」

 「あきたこまちR」の祖先は、品種開発(育種)の過程で人工的な重イオンビーム(粒子線、電離放射線)を種子に当てて遺伝子を改変した「コシヒカリ環1号」です。この品種は、2010年代に農研機構が東京大学、原子力研究開発機構と共同で開発した品種で、カドミウムとマンガンの稲・米粒への吸収に関わる機能をもつ遺伝子(OsNramp5)が破壊・欠失しているため、カドミウムを米粒中にほとんど含まない「カドミウム低吸収性」という特異な性質をもっています。  
 重金属カドミウムはイタイイタイ病を引き起こした有害物質であり、かつて乱開発された鉱山事業に伴うカドミウム汚染地域が日本には、限定的ですが残っています。秋田県もその1つで、これまで長年にわたる対応策が取られてきました。現在は栽培過程での「湛水管理」とコメ中カドミウム検査により、基準値(0.4ppm)を超える米は市場流通に一切出ていません。  
 秋田県は「あきたこまちR」に切り替える理由として、米の輸出先は基準値が低いこと(輸出米の割合は極めて低いが)、コメ中のヒ素を同時に低減できる水管理ができること(水管理自体は継続して必要)、そして、「全量」変換するのは「風評被害を避ける」ためと述べています。しかし、カドミウム低吸収性の稲への切替えでは、肝心のカドミウム汚染土壌自体の低減にはつながりません。

「あきたこまちR」を「有機農産物」と認証できる?!

 2024年9月30日に開催する院内集会では、消費者にとってのもう1つの表示問題、「あきたこまちR」は「有機」認証できると、農林水産省がこのほど公表した見解をめぐって検討します。  
 ご承知のように、「有機」食品に遺伝子組換え(遺伝子操作)技術による種子(品種)を使うことは禁止されています。これは、自然と共生する農業(有機農業)では、生物(作物を含む)を尊重し、その遺伝子についてもそれに人の手を入れて改変すべきではないという「有機」の原則に照らしたときに、遺伝子操作技術が認められないからです。同様に、品種を開発する過程で放射線、ましてや重イオンビームという遺伝子の二本鎖を一挙に破壊し、遺伝子を欠失させる技術を使った品種(種子)を使うことは、「有機」の原則に照らしても、また、消費者市民一般が「有機」食品に期待 する認識とも相容れません。  
 ところが農林水産省は、こうした有機農業の原則を軽視し、消費者にも生産者にも、有機JAS検査認証機関等にも、また審議会(日本農林規格調査会)にさえも諮らずに、認証可としてしまいまし た。これでは消費者は、「有機」と表示してあるからと購入してみたところ、(2025年産以降は)実際の中身は「あきたこまちR」だったということになりかねません。消費者は前述の銘柄名<あきたこまち>でがっかりさせられるだけでなく、「有機」という表示に関しても、二重に誤認させられることになります。

マンガン低吸収性による農薬増加の弊害

 9月30日の集会では、このような表示問題だけでなく、マンガン低吸収性の弊害についても言及します。「あきたこまちR」はカドミウムだけでなくマンガンを稲が吸い上げる機能も低下させているために、もともとマンガン含有濃度が低い水田ではマンガン含有資材の投入をしたり、マンガン吸収がよくないためにゴマ葉枯病にかかりやすい(農研機構、秋田県が確認している)ことから殺菌剤(農薬)の使用を増やす必要が生じます。  
 また、出穂期に高温であると収量が2~3割落ちると指摘する論文があることから、こうした問題についても農林水産省の見解をただします。

全国5割の都道府県で転換?

 また、そもそも秋田県の「あきたこまちR」への転換は、2018年に改訂された「コメ中のカドミウム低減に関する実施指針」(農林水産省消費・安全局)に端を発しています。それまではカドミウム低減事業は、客土等による土壌のカドミウム低減、ファイトレメディエーションといわれるカドミウムを吸収して土壌中のカドミウムを低減させる植物(稲含む)の栽培による低減、「湛水管理」による栽培方法によるコメ中のカドミウム低減などでした。しかし、前述の改定された指針では、筆頭に「コシヒカリ環1号」の利用と国内各地の主要品種との交配によるカドミウム低吸収性品種の普及が挙げられたのです。  
 この方針に沿った多額の予算が使われています。2024年度予算では、17億2,000万円を「水稲におけるカドミウム・ヒ素濃度低減技術の実証・普及事業」に確保し、2025年まで3割の都道府県 でのカドミウム低吸収性品種の普及をめざしており、来年度予算概算要求額は22億6,900万円で、2030年までに5割の都道府県での普及をめざすとしています。秋田県だけではないのです。

主食の米が「自家採種禁止」でよいのか

 秋田県は、「あきたこまちR」は「自家採種禁止」として、農家が自家増殖をして次期作に種子を使うことの許諾を拒否しています。しかも「あきたこまちR」には異例の「特許」が付けられているので、農家は栽培のたびに特許料を払うことになり、それは種もみ代に加算されます。主食の米がこのようなことでよいのでしょうか。

オンライン署名

 このように、2025年「あきたこまちR」問題は看過できない多くの問題を含んでいますが、市民・消費者の声も、生産者の声も聞かずに全量転換が一方的に進んでいるのが現状です。  
 そこで、OKシードプロジェクトでは市民の声を秋田県、農林水産省、消費者庁にも伝えるために、オンライン署名を8月下旬に開始しました。その第1次集約分を9月30日の院内集会で、農林水産省と消費者庁に提出し、秋田県にも届けることを予定しております。

《「あきたこまちR」問題院内集会》
日時:2024年9月30日 15:00~17:00
場所:衆議院第2議員会館 第1会議室/オンライン併用
参加費:無料 申し込みフォーム
https://act.okseed.jp/akitakomachi0930
主催:2025年「あきたこまちR」問題全国ネットワーク
事務局:OKシードプロジェクト 連絡先:komachi@okseed.jp
詳細:https://v3.okseed.jp/news/5266

《オンライン署名:わたしは、遺伝子を改変された「あきたこまちR」を食べたくありません!》

【いままでの経緯】
2024年3月29日に開催した「『あきたこまち』をどう守る?東京集会」では、重イオンビーム放射線育種米「あきたこまちR」のさまざまな問題について提起しました。
◎「あきたこまち」をどう守る?3.29東京集会の報告&動画
https://okseed.jp/news/4526

3/29東京集会での問題提起を踏まえて、秋田県知事に対して「あきたこまちR」の導入・切り替えの撤回と中止を求める申し入れを、2024年5月7日付で送付しています。
◎【プレスリリース】秋田県知事に「あきたこまちR」の導入・切替えの撤回・中止等を申し入れ
https://v3.okseed.jp/news/4538

2024年6月14日には参議院会館で院内集会を開催し、消費者庁に対して「あきたこまちR」を「あきたこまち」 として表示して販売しないように要請をするとともに、「あきたこまちR」の問題点について農林水産省・消費 者庁担当者と意見交換を行いました。
◎「あきたこまちR」を「あきたこまち」と表示する問題に対する消費者庁への要請書
https://v3.okseed.jp/news/4518
◎【NEWS!!】集会報告:消費者庁に「あきたこまちR」の不当表示を防ぐ措置を42団体が申し入れ
https://v3.okseed.jp/news/4558


【このリリースに関する問い合わせ先】 
OKシードプロジェクト
info@okseed.com
https://okseed.jp/

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