秋田県産米の約7割を占める主力品種「あきたこまち」が、2025年産米から「あきたこまちR」に全面的に切り替えられるということを、ほとんどの消費者は知らされておりません。
私たちは、これまでどおり「あきたこまち」を食べ続けたいという声を受けて、3月29日、「『あきたこまち』をどう守る? 東京集会」を大消費地・東京で開催しました。
この東京集会は実行委員会方式で、全国規模や地域の消費者団体、市民団体、環境保護団体、生協、農業・有機農業団体など32団体*が組織し、会場、オンライン含め約430名に上る大きな集会となりました。
「あきたこまちR」は、カドミウム低吸収性をもち、「湛水管理」をしなくてもコメ中のカドミウムを低減、中干しをすればヒ素も低減できる新品種のイネであると、その効用面が強調されていますが、それ以外の重要な多くの問題が解明されないまま、性急に全面切替えが行われようとしています。このような緊急性があるのでしょうか。また、「あきたこまちR」という品種名を伏せたまま、「あきたこまち」の産地品種銘柄の名前で市場流通させることも消費者から大きな疑問が出ています。いわゆる「うそつき表示」(不適正で虚偽の不当な表示)と言わざるをえません。
東京集会では、「あきたこまちR」と同じ遺伝子を改変した品種は出穂期の高温と水田の低マンガンという条件が重なると2~3割の減収になる危険性を指摘する研究が紹介されるなど、「あきたこまちR」の導入・全面切替えのもつ問題点が多方面から明らかにされ、集会総意として、「『あきたこまち』を守ろう!東京集会アピール」が採択されました(別添2)。このほど、そのアピールに基づき、別添の「『あきたこまちR』への全量切替えに対する申し入れ」(別添1)を秋田県知事に4月26日付で提出しました。これについては、5月末日までに、回答・見解をいただくことにしています。(配達証明にて2024年4月30日付で配達済)。
お米は、だいじに「いただく」主食であり、基幹作物です。これまでどおりの「あきたこまち」を食べ続けたい消費者は、何十万人といるはずです。「あきたこまち」を守りたい、だからこそ、この新品種のもつ問題に着目せざるをえません。
当日の東京集会の模様は、動画でも公開されています。OKシードプロジェクトのウェブブサイトにも東京集会アピールをはじめ、多くの資料が掲載されています。
秋田県知事への申し入れ、そしてその回答に、全国からご注目ください。
また、報道機関のみなさんは、私たちの意を汲んで、秋田県知事への申し入れに着目した報道をお願い申し上げます。
*「『あきたこまち』をどう守る?東京集会」集会実行委員会の構成団体は、添付の秋田県知事宛「申し入れ」をご覧ください。
申し入れ文書の要求・質問内容を以下に転載しています。(一部省略)
PDFでダウンロードも可能です。
2024年5月7日
秋田県知事 佐竹敬久 殿
県の種籾供給事業の「あきたこまちR」への全量切替えに対する申し入れ
同集会実行委員会*
私たちは、これまでどおり「あきたこまち」を食べ続けたい、つくり続けたいという声を受けて、3月29日、「『あきたこまち』をどう守る? 東京集会」を開催しました。
会場とオンラインで約430名に上る参加者によるこの集会では、「あきたこまちR」の導入・全量転換のもつ問題点を多方面から明らかにしました。その上で、あらためてこの問題を深く憂慮し、次の6点について、貴職が早急に適切な対応をとることを求める「『あきたこまち』を守ろう!東京集会アピール」を採択しました。私たちは、同集会の総意として、次を強く要求します。
なお、質問となっておりますので、この1~6の項目毎に、貴職から5月末日までに文書にてご回答くださいますようお願いいたします。
要求・質問項目
- 「あきたこまちR」は、祖先に放射線(重イオンビーム)育種により遺伝子が改変された「コシヒカリ環1号」をもつ、「あきたこまち」との交配種です。安全性についても品種の持続性についても疑問があります。「あきたこまち」と「あきたこまちR」との遺伝子配列の違いとそれによるタンパク質の変化について、科学的な評価を行い、安全性について確認してください。
すでにそのようなデータや評価が行われたのであれば、それを速やかに公表してください。 - 県の種子供給事業としてこれまでの「あきたこまち」を「あきたこまちR」に全量転換することは、従来の品種の栽培を求める農家の種子(たね)の権利を侵害します。全量切替えの撤回・中止を求めます。
- 重イオンビーム育種の品種名を伏せて銘柄名で販売することは消費者の知る権利を侵害します。品種群設定による「産地品種銘柄」で「あきたこまち」と称することの撤回・中止を求めます。
- 有機認証において、「あきたこまちR」の種子使用を認めないことを求めます。
有機農業の原則は生命を尊び自然の摂理に則った農業であり、それに照らせば遺伝子に大きな損傷を与え遺伝子を改変する重イオンビーム育種による品種は、その交配種の使用についても認められません。そもそも、このような品種は、有機であっても一般食品であっても認められません。 - 従来の「あきたこまち」を求める生産者や消費者の声に耳を傾けて、従来品種の種子生産・提供を再開することを求めます。
- カドミウム・ヒ素などによる農地の汚染については、国・県が十分な調査を行い、長期的かつ総合的な対策を策定・実施することを求めます。
2024年4月26日
「あきたこまち」をどう守る?東京集会実行委員会*
*構成団体東京集会実行委員会(50音順、32団体)
秋田県有機農業推進協議会
秋田ミネラルオーガニック給食をすすめる会
NPO法人アクシス委員会連合
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
遺伝子操作食品を考える中部の会
海洋町オーガニックス
北九州オーガニックプロジェクト
くまもとのタネと食を守る会
こうち食と農をまもる連絡会
生活協同組合連合会コープ自然派事業連合
生活協同組合コープ自然派おおさか
生活協同組合コープ自然派京都
生活協同組合コープ自然派しこく
生活協同組合コープ自然派奈良
生活協働組合コープ自然派兵庫
種子を守る会香川
NPO法人 秀明自然農法ネットワーク
主婦連合会
NPO法人 食と農の未来をつくるネットワーク
食と農を守る会徳島
食べママ(食べもの変えたいママプロジェクト)
使い捨て時代を考える会
NPO法人 日本消費者連盟
日本の種子(たね)を守る会
NPO法人 日本有機農業研究会
バイオダイバーシティ・インフォメーション・ボックス
富士山麓有機農家シードバンク
北海道食といのちの会
NPO法人 民間稲作研究所
NPO法人 メダカのがっこう
NPO法人 有機農業推進協会
OKシードプロジェクト
以上
◆この申し入れに関するお問い合わせはコチラから
https://okseed.jp/contact/
◆3月29日東京集会の録画を公開しています
https://www.youtube.com/watch?v=yl2q3f2BkLg
◆OKシードプロジェクト ウェブサイト、関連資料
https://okseed.jp/radiation/entry-230.html