【連載コラム「現役農大生の食の視座」】 第1回:OKシードプロジェクトとの出会い

食の視座

今回から現役農大生の食のコラム連載が始まります!
OKシードプロジェクトに参加してくれている農大生の中尾晃大さん。10代のそのまなざしは瑞々しく、そして非常に研ぎ澄まされていて、先を生きている私たちよりも遠くの未来まで目を凝らして見つめています。
食だけでなくライフスタイルも急速に変化し続ける過渡期にいる今、このコラムから、「食の
視座」をみなさんと高めていきたいと思います。


第1回:OKシードプロジェクトとの出会い

みなさん、はじめまして。東京農業大学1年生の中尾晃大(なかお こうだい)と申します。今回からコラム「現役農大生の食の視座」を執筆することになりました。

せっかくなので自己紹介がてら、私がOKシードプロジェクトに出合うまでのお話をします。

私はなぜか小学校高学年のころから、食品添加物には発がん性が強く疑われるものもあると知っていました。しかし、あまり自分事とは思えず、中学生のころは原材料を確認はするけど何が何なのかさっぱりわかりませんでした。ところが、高校1年生のころ偶然読んだ食品添加物の本に衝撃を受けました。その本の内容と身の回りの食品の原材料を照らし合わせると、いかに食品添加物が身近にあふれているのかに気づきました。そこから自分の食を見直そうと動きました。

我ながら、食品添加物についてよく勉強したと思います。高校の勉強よりそちらのほうが面白いし、自分事として危機感を持っていました。ある程度の知識を身に付け、食の大切さ、食品添加物がもたらす影響を親にも理解してもらうことができました。それ以来、農薬や抗生物質などが身近な食べ物に含まれていることを知り、そういったものを含まない食べ物を選ぼうと、親と約束しました。

その日から、高校に持っていく弁当や朝ご飯は私が作るようになり、今では東京の自然食品店をめぐって食材や調味料をそろえ、毎日自炊して楽しんでいます。他にも、東京の自然食品店で教えてもらい梅干を作ったり、みそ、チョコ麴を作ったりしました。私にとって食は命であり、一食一食が大切です。食べ物を作ってくださった生産者、食べ物を育んでくれた自然に感謝する日々を送っています。だからこそ、血となり肉となる食べ物を遺伝子操作することは許すことができません。

今思えば、親の理解があったから今の自分があるのだと思います。子どもにとって親の影響は大きいものです。もちろん食べ物を変えるのは金銭的な面で難しいかもしれません。でも、私がこの時嬉しかったのは、自分の考えを親に認めてもらえたことでした。

高校生のころ通っていた徳島の自然食品店の私の「おすすめ本コーナー」

地元のいくつかの自然食品店に通い始めた高校生だった私(徳島県出身)ですが、自然食品店の方々は私を受け入れてくれていろいろな話を聞かせてくださいました。

そして、ある自然食品店は私のおすすめの本を紹介するコーナーを作ってくれました。今、多くの子どもたちは成績の優秀さを求められ、ありのままの自分を受け止めてくれる場所を失っているのではないでしょうか。だから自分の考えを持つのが怖くて、つい周りに同調してしまう。そして「ゲノム編集は良いもの」として習えば、それを否定する考えを持てないのだと考えます。半面、私は周りの人に恵まれ、自分のことを肯定し、受け入れてもらえたおかげで自分の考えを胸を張って言えます。

 

話がそれましたが、私がOKシードプロジェクトを知るきっかけは、高校2年生の3月。私が通っていたある自然食品店に掲示されたチラシを見つけたことでした。それは、「あきたこまちR」に関する市民集会のお知らせでした。よくわからないままでも惹かれるものがあり、開催当日オンラインで参加しました。もちろん、初めて聞く言葉がたくさんありました。改めて、食品添加物について知っているだけで、身近な米について何も知らなかった自分が情けなく感じたのを覚えています。

その日をきっかけに遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品の問題点を知ることになります。高校の生物で習うゲノム編集の情報と、OKシードプロジェクトが提供してくれるゲノム編集の情報が全く異なるもので困惑しました。しかし、OKシードプロジェクトが指摘する問題点はまっとうなものであり、企業が金儲けのために生き物を利用して苦痛を与えたり、命に特許をかけたり、さらには市民をもだましているということに気づかせてくれました。それに対して、生物の教科書では企業との関係については述べず、どこか意図的に問題をひた隠しているように思えました。当然、前者の情報を信じました。この時、私にこういった情報を与えてくれたOKシードプロジェクトには感謝してもしきれません。

毎日やっている自炊の一例(「たべきめキャンペーン2025」メッセージ付き)

おそらく、多くの10代の人にとって、「あきたこまちR」問題やゲノム編集に関する問題にアクセスして自分事として考えられる人は少ないと思います。私の場合、日本の食が安全であるとは限らないことや日本の諸機関が消費者に真摯に向き合っていないことを気付いていたので、こういった問題を受け入れられたのだと思います。

私が問題だと思うのは、今の若者の食の問題への当事者意識が薄れていることです。私の周りにも、物事を批判的に見たり、国の機関を批判したりすることに忌避感がある人が多いように感じます。この先声を上げる若者がいなくなると、日本の食の未来が危ないと思います。

少しですが、日本の未来をよくするため行動し、発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

[中尾晃大 プロフィール]
徳島県出身、東京農業大学在学。
好きな言葉:「食は命」
好きな食べ物:らっかせい
趣味:スニーカー鑑賞、読書、散歩
特に嫌いな添加物:加工でんぷん
人生を変えてくれた本:「コンビニ&スーパーの食品添加物は死も招く」(2014)小薮浩二郎著

 

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