オンライン署名: わたしは、「あきたこまちR」を食べたくありません!

重イオンビーム放射線育種について

趣旨説明

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「あきたこまち」から「あきたこまちR」に全量切り替え

「あきたこまち」は秋田県で生産されるお米の7割以上を占めます。

 秋田県は2025年から、これまでの「あきたこまち」に代わり、新品種「あきたこまちR」に全面的に切り替える計画をすすめています。これは、農林水産省がカドミウム汚染対策として、日本の主要品種をカドミウム低吸収性という性質をもつ「コシヒカリ環1号」を親とする交配種に切り替えていく方針を2018年に決めたからです¹
 従来の「コシヒカリ」と異なり、「コシヒカリ環1号」は、土壌中のカドミウムを「コメ」(米粒中)に吸い上げる機能をもつ遺伝子が欠失した突然変異を起こした品種です。

放射線・重イオンビームで品種開発

 この新品種の開発には、種子に人工的な放射線(粒子線)・重イオンビームを照射して遺伝子の部分を破壊・欠失させる、重イオンビーム育種の技術が使われました²
 これまで数多くの放射線を育種に使ったお米は作られていますが、それはガンマ線を使ったものでした。ガンマ線による放射線育種は世界ではほとんど終わっており、日本でも2022年度に施設が閉鎖になっています。ガンマ線と重イオンビーム放射線は量的にも質的にも大きな差異があります。
 お米(イネ)に重イオンビーム育種を使うケースは世界ではほとんど知られておらず、安全性等は検証されていません。

自家採種禁止・特許付きのお米が全国に?

 また、「コシヒカリ環1号」には、品種登録だけでなく、「特許」も付けられました³。交配種も、栽培するには特許料が求められます。自家採種も禁止されるので、農家は毎年種子を購入しなければならなくなります。
 この「コシヒカリ環1号」を地域の主要品種と交配させてそれに切り替えようとする導入計画は、秋田県だけでなく、宮城県、新潟県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、山口県、宮崎県でも進められています。全国のお米が重イオンビーム放射線育種の米に切り替えられようとしているのです。

お米のマンガン含有量も低下

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 この「あきたこまちR」など「コシヒカリ環1号」系品種には、共通する深刻な問題があります。農林水産省のデータでも、お米に含まれるマンガンの量が3分の1未満になってしまうことがわかっています。
 マンガンは体内でのさまざまな代謝の酵素活性に関わるため、体の調整に欠かせない、すべての年齢の人に不可欠な必須微量ミネラルです。骨の形成や生殖、成長、脳機能に関わるため、適正量を摂取する必要があります。日本では4割近くが穀物から、つまりお米などから摂取されていることがわかっています
 円グラフにある調味嗜好飲料類とはお茶類ですが、お茶をあまり飲まない子どもの場合はお米のマンガン量の低下の影響を見逃せないでしょう。

品種 カドミウム マンガン 亜鉛
コシヒカリ 0.76 30.9 4.72 14.2 34.4
コシヒカリ環1号 ND 9.06 4.22 15.8 31.4

 NDは検出限界以下。データは「コシヒカリ環1号」を開発した農研機構から

農家にとって病害・収量減の問題も

 マンガンはわたしたちの健康のためだけでなく、イネの生育にも不可欠な物質です。マンガン不足になるとごま葉枯れ病になりやすくなることを、開発した農研機構自身が確認しています。また、同じ遺伝子を損傷させた品種は、マンガンが少ない水田で出穂期に高温が続くと収穫量が2〜3割減る可能性があることが、研究でも指摘されています。同様のリスクが「あきたこまちR」にもあることが懸念されます。
 ただでさえ、経営の厳しい稲作農家にとって、新品種に由来する減収や、マンガン不足から生じる病気の予防・対策にマンガン含有資材(殺菌剤等の農薬)を使わざるを得なくなるのはさらなる負担になります。
 そして、カドミウム対策と言いながら、カドミウムを吸わない品種にするだけでは土壌のカドミウム汚染の解決にはつながりません。

「あきたこまちR」の表示なしに販売

 2025年産米から、こうしたお米が日本第3位の米どころである秋田県、そして秋田県から種籾の供給を受けて「あきたこまち」を生産する13県から出荷されることが予想されます。ところが、スーパーの店頭等での販売に際しては、「あきたこまちR」であることは表示されずに、「あきたこまち」として販売されることになっています。
 つまり、消費者はマンガン不足の「あきたこまちR」なのか、それとも従来の「あきたこまち」なのか知ることができないことになります。特に心配されるのは、全国各地の学校給食でも使われる可能性が高いことです。

「あきたこまちR」を、「有機農産物」とは認められない!

 さらに農林水産省は、「あきたこまちR」を有機認証して「問題ない」と断言しています。しかし、有機農業の原則からみても、消費者が有機農産物に期待するものからみても、重イオンビーム育種で開発した品種の種子を使った農産物を「有機農産物」であると認めることはできません。
 有機農業は、世界共通の原則や基準をもっており、国際有機農業運動連盟(IFOAM-Organics International)の有機食品生産等の規範やそれを反映させたEU有機規則、また、国が整合性を図っているFAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の有機生産等ガイドラインでも、放射線を使って品種を開発することを原則として認めていません。
 ただし、具体的な禁止技術としては認証基準に明記されていないため、実際に禁止技術と規定している国・地域は今のところ見当たりません。現在、世界で重イオンビーム育種を主食に行っているのは、実質日本だけです。まずは日本の有機基準で率先して禁止技術とすべきです。
 明記されていないから「問題ない」という論理で有機認証を許容することになれば、日本の有機認証は人々の信頼や期待を裏切り、世界からも信頼を失ってしまうでしょう。

暑さに弱い稲、そして秋田県だけの問題ではない

 気候変動によって、マンガン不足の稲にとっては厳しい時代がやってきます。このような時代に、生育に不安のある品種へ全量転換することは、あまりに危険な方針と言わざるをえません。
  「あきたこまちR」を先頭に、全国各地のお米が同様の品種に変えられていくことが予想されます。
 何を食べるのか、何をつくるのかを決めるのは消費者自身であり、農家自身です。政府や県が一方的に決めることではありません。
  まず、「わたしは「あきたこまちR」を食べたくありません!」と、意思表明することから始めましょう。

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  1. 1. 詳しくは、「コメ中のカドミウム低減のための実施指針」(農林水産省、2011年8月策定、2018年1月改訂) https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/2_taisaku/attach/pdf/01_tec-11.pdf
  2. 2. 詳しくは、「農環研のプレスリリース カドミウムをほとんど含まない水稲品種 「コシヒカリ環1号」(2014年1月30日)(農環研は、現在、(国立研究開発法人)農業・食品産業技術総合研究機構(略称・農研機構)の農業環境技術研究部門) https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/press/140130/
  3. 3. 2と同じ。
  4. 4. 【NEWS!!】集会報告:消費者庁に「あきたこまちR」の不当表示を防ぐ措置を42団体が申し入れ―6月14日、市民が院内集会 https://v3.okseed.jp/news/4558
  5. 5. 詳しくは、東京衛研年報「都民の栄養状況」から算出したビタミン,ミネラル推定量 https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou52/52-33.pdf
  6. 6. 詳しくはOsNramp5基因变异影响水稻重要农艺性状的研究进展 http://www.ricesci.cn/article/2022/1001-7216/1001-7216-36-6-562.shtml
  7. 7. 詳しくは、「有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A」(農林水産省他、2024年7月)(新設 問10-10)https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-465.pdf
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