「あきたこまちR」「コシヒカリ環1号」など重イオンビーム放射線育種問題を考える

 農林水産省は2018年に指針を発表し、カドミウム対策として重イオンビーム放射線育種によって遺伝子を改変した「コシヒカリ環1号」とその後代交配種を日本のお米の主力品種にするとしています。
 しかし、この重イオンビームによる突然変異育種はゲノム編集と同様に遺伝子の二重鎖を破壊することによる変異を利用したもので、その安全性を根拠付ける情報に乏しく、十分な検証は行われていません。
 その「コシヒカリ環1号」を元に「あきたこまちR」などすでに22品種の後代交配種(「コシヒカリ環1号」を親に、各地の主力品種と交配させて作った品種)の開発が終了しており、品種登録出願もされています。開発中のものを含めるとその数は合計202品種にのぼります。そして、秋田県は2025年に秋田県の7割以上を占める「あきたこまち」を「あきたこまちR」に全量転換する予定となっており、秋田県のみならず、農水省は2025年までに3割の都道府県がカドミウム低吸収施策を採用することを目標に挙げています。

 重イオンビーム放射線育種品種を日本各地に導入する前に、日本のお米をどうしていくか、カドミウム・ヒ素汚染にどう対処していくべきか、十分な議論をしていく必要があると、OKシードプロジェクトでは考えております。
 このページではこれまでの取り組み、そして今後の取り組みについて、情報を紹介していきます。

重イオンビーム放射線育種問題に関する情報

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「あきたこまち」をどう守る? 重イオンビーム放射線育種「あきたこまちR」への2025年全量転換に対して 2024年3月29日東京集会アピール

 東京集会は会場とオンライン合わせて400名ほどの参加を得て、終了しました。下記の行動提起アピール文が採用されました。今後、この活動を広めてまいります。この集会の様子は動画で公開されています。ぜひご覧ください。YouTube動画

 これまでどおり「あきたこまち」を食べ続けたい、つくり続けたいという声を受けて、私たちは「『あきたこまち』をどう守る? 東京集会」に集いました。問題は多岐にわたり、すべてを網羅することはできませんが、次の6つの要求項目と4つの行動提案が浮かびあがりました。

 秋田県が進めている放射線・重イオンビーム育種により遺伝子を改変された「コシヒカリ環1号」及びその遺伝子を受け継ぐ「あきたこまちR」の導入に対して、そしてまた、「コシヒカリ環1号」系統の他都道府県への導入について、私たちは以下のことを国や秋田県などの地方自治体に求めます。

  1. 「コシヒカリ環1号」「あきたこまちR」などの重イオンビーム育種品種に関して、安全性の確認、規制を求めます。
  2. 地方自治体が重イオンビーム育種品種へ全量転換することは従来の品種の栽培を求める農家のタネの権利を侵害するので、撤回・中止を求めます。
  3. 重イオンビーム育種の品種名を伏せて銘柄名で販売することは消費者の知る権利を侵害するので、撤回・中止を求めます。
  4. 有機JAS認証基準において、重イオンビーム育種技術の使用禁止を求めます。
  5. 地方自治体に対して、消費者や生産者が求める従来品種の種子生産・提供を継続することを求めます。
  6. 国・地方自治体がカドミウム・ヒ素などによる農地の汚染について十分な調査を行い、長期的かつ総合的な対策を策定・実施することを求めます。

私たちの行動提案
 これらの要求項目を踏まえ、特に以下の4つについて早急に行動していきましょう! 

  • 秋田県に従来の「あきたこまち」の原種・種籾の生産・提供の再開を求めよう!
  • 「あきたこまち」の生産と販売が続けられるように、消費者は生産農家を応援しよう!
  • 「あきたこまち」と「あきたこまちR」は同じでないことを伝えよう!
  • 学校給食に、重イオンビーム育種の食品を使わないことを求めよう!
  • 「あきたこまち」をどう守る? 東京集会参加者一同

3月29日東京集会チラシ

 秋田県は日本を代表するお米「あきたこまち」を、農研機構が重イオンビーム放射線照射によって遺伝子を改変した「コシヒカリ環1号」から作った「あきたこまちR」に2025年から全量転換するとしています。

 この重イオンビーム放射線の利用は戦後から世界各国で続けられてきたガンマ線を使った放射線育種とはまったく異なり、遺伝子の二重鎖を直接破壊して、突然変異を誘発します。ガンマ線による放射線育種は日本でも2022年に終了し、世界でもほぼ終了を迎えたと考えられます。一方、重イオンビームによる放射線育種は実質日本だけです。

 「コシヒカリ環1号」はカドミウムを吸収する機能を持った遺伝子OsNramp5の塩基が破壊されており、その改変された遺伝子が「あきたこまちR」にも入っています。この遺伝子の変異が原因となって、「コシヒカリ環1号」や「あきたこまちR」は生命の維持に不可欠なマンガンの吸収能力が3分の1未満に下がってしまっており、収量も減少することが想定されます。こうしたお米の安全性(毒性学、栄養学等)は実験も行われておらず、安全・安心だという確証はありません。それにも関わらず、秋田県や農水省はこれらが同等だとして、流通する際には消費者が区別できないように「コシヒカリ」「あきたこまち」と表示して流通させることができ、さらに有機認証も可能だとしています。しかし、これは科学的に妥当なことでしょうか? 適正な表示なのでしょうか? そもそも消費者は、重イオンビームで遺伝子を破壊されたお米を知らずに食べること、有機米として食べることを望んでいるでしょうか?
 この重イオンビーム放射線育種米は秋田県だけの問題ではなく、農水省は全国の主要品種としていくとする指針を2018年に立てており、来年度概算要求にも2025年までに3割(14都道府県)での導入を目標にしています。「あきたこまち」を皮切りに日本のお米が重イオンビーム放射線育種米に変わってしまう可能性があります。

 消費者の知る権利、安全である権利を奪い、以前とは同等ではないお米を生産者に強いるこの施策に対して、声を上げることが必要です。そこで3月29日、秋田県の農業に関わる方にもご参加いただき、東京で集会を開催します。ぜひ、ご参加ください。

日時:3月29日 午後2時〜4時半
場所:連合会館 203会議室(108名定員)あるいはZoomによるオンライン配信(500名)

この集会の開催費用はすべて市民のみなさんの寄付でまかなわれました。現在、会計報告作成中です。しばらくお待ちください。

集会プログラム(現在の案で当日までに変わる可能性があります)

1. 問題提起(各15分、計75分)
 なぜ「あきたこまちR」が出てきたのか? 印鑰智哉 OKシードプロジェクト事務局長
 重イオンビーム育種とは? 河田昌東 分子生物学者、遺伝子操作食品を考える中部の会代表
 食品表示問題 久保田裕子 日本有機農業研究会副理事長 OKシードプロジェクト共同代表
 「あきたこまちR」って何? 谷口吉光 秋田県立大学教授
 秋田の農家から 相馬喜久男 秋田県有機農業推進協議会会長

2. 議論(質疑・討論 60分)

3. 行動提起(10分)

主催:「あきたこまちR」問題を考える実行委員会
(2024年3月20日現在50音順)

秋田県有機農業推進協議会
秋田ミネラルオーガニック給食をすすめる会
特定非営利活動法人アクシス委員会連合
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
遺伝子操作食品を考える中部の会
北九州オーガニックプロジェクト
くまもとのタネと食を守る会
こうち食と農をまもる連絡会
生活協同組合連合会コープ自然派事業連合
生活協同組合コープ自然派おおさか
生活協同組合コープ自然派京都
生活協同組合コープ自然派しこく
生活協同組合コープ自然派奈良
生活協働組合コープ自然派兵庫
種子を守る会香川
NPO法人 秀明自然農法ネットワーク
主婦連合会
NPO法人 食と農の未来をつくるネットワーク
食と農を守る会徳島
食べママ(食べもの変えたいママプロジェクト)
使い捨て時代を考える会
NPO法人 日本消費者連盟
日本の種子(たね)を守る会
NPO法人 日本有機農業研究会
バイオダイバーシティ・インフォメーション・ボックス
富士山麓有機農家シードバンク
北海道食といのちの会
NPO法人 民間稲作研究所
NPO法人 メダカのがっこう
NPO法人 有機農業推進協会
OKシードプロジェクト

連絡先:OKシードプロジェクト
チラシ (5.3MB) チラシ印刷発注用 (6.6MB)

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