OKシードマークの使用を検討している事業者の方から、次のような質問をいただきました。
遺伝子組み換え食品では、日本で流通している作物以外のものに「遺伝子組み換えでない」と表示することは優良誤認となるので禁止されています。ゲノム編集食品の場合も、同様ではないでしょうか? OKシードマークには「ゲノム編集でない」と書かれていますが、日本でゲノム編集食品が流通している作物や食品以外のものにOKシードマークを表示すると、消費者庁から指導されないか心配です。
この質問への回答は、「『ゲノム編集でない』と表示しても問題ありません」です。なぜ問題ないのか、解説します。
「遺伝子組み換えでない」表示の優良誤認とは
消費者庁は、『食品表示基準』で遺伝子組み換え食については、一定の表示義務を定めています。
現在(2024年11月)、日本で流通が認可されている遺伝子組み換え作物は、大豆、トウモロコシ、ばれいしょ、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、カラシナの9農作物です。これらの農作物やその加工品については、一定の基準に基づいて「遺伝子組み換え」であると表示しなければいけません。
一方、これら以外の農作物やその加工品に「遺伝子組み換えでない」と表示することは、消費者に誤認を招く可能性があるという理由で、『食品表示基準』で禁止されています。消費者庁の『食品表示基準Q&A 別添 遺伝子組換え食品に関する事項』にも記載されています。
■「ゲノム編集でない」は表示できる
では、ゲノム編集食品の場合、「ゲノム編集でない」表示は可能なのでしょうか。
ゲノム編集食品については、そもそもの表示の義務づけがないため、「ゲノム編集でない」という表示を禁止することができません。また、食品に関する情報を「消費者の自主的かつ合理的な選択」のために表示することは、「消費者の選ぶ権利」に資するものであって、推奨されるものです。
消費者庁も『食品表示基準Q&A 別添 ゲノム編集技術応用食品に関する事項』で、「ゲノム編集技術応用食品でない食品又はそれを原材料とする加工食品に『ゲノム編集技術応用食品でない』と表示することについては、それが適切になされる限りにおいて、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保に資するものであると考えられるため、特に禁止されるものではありません」との見解を公表しています。
この際に注意すべきことは、その農水産物や加工品にゲノム編集作物・食品が混入していない「根拠資料」を、生産者などが保管しておく必要があるということです。
根拠資料というと難しそうに聞こえますが、さほど心配はありません。農作物であればタネの袋や、自家採種の場合は採種の記録が根拠資料となります。加工食品であれば、原材料メーカーからゲノム編集食品を使用していないという資料を取り寄せておけば、それが根拠資料となります。
以上のように、ゲノム編集されていない農水産物やその加工品に「ゲノム編集でない」と表示することは問題ありません。
※OKシードプロジェクトでは「『ゲノム編集でない』の表示は消費者庁も認めています◎」というチラシを作成しました。PDFはこちらからダウンロードできます。
参照:
消費者庁『知っていますか? 遺伝子組換え表示制度』