【NEWS!!】ゲノム編集トマトがスーパーの店頭に! 販売調査にご協力を/ 原野好正(OKシードプロジェクト副事務局長)

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スーパーでも販売されているゲノム編集トマト

ゲノム編集トマトが、最近、一部のスーパーの店頭で販売されていることはご存じでしょうか。

現在(2024年11月)、消費者庁に届け出されたゲノム編集食品は、トマト(2品種)、トウモロコシ(1品種)、ジャガイモ(1品種)、マダイ(1品種2系統)、トラフグ(1品種2系統)、ヒラメ(1品種1系統)の7品種あります。そのうち、市場流通しているのは、トマト1品種とマダイ・トラフグ・ヒラメのゲノム編集魚です。ゲノム編集魚は、開発・生産・販売をしているリージョナルフィッシュ社のECサイト(オンラインショップ)で販売されていますが、スーパーなどでの販売は確認されていません。

ゲノム編集トマトの2品種は、どちらもサナテックライフサイエンス社(旧社名:サナテックシード社)が開発したものです。市販されているのは「シシリアンルージュハイギャバ」という品種名の高GABAミニトマトで、販売しているのはサナテックライフサイエンス社の親会社のサナテックシード社(旧社名:パイオニアエコサイエンス社)です。もう1つの品種である中玉トマト(高GABA)は市販されていません。

このシシリアンルージュハイギャバは2020年12月に、国内初のゲノム編集食品として厚生労働省に届出されました(2024年4月から食品衛生基準行政は消費者庁に移管)。届出後すぐに販売がはじまったわけではなく、青果の販売がはじまったのは2021年9月からで、パイオニアエコサイエンス社(当時)のオンラインサイトでのみ販売されていました。

しかし、2023年8月に「東京・神奈川のスーパーで販売している」という報道がありました。そこで調べてみると、成城石井では一時期販売していたが売れ行きが芳しくなかったために取り扱いをやめていることがわかりました。ほかのトマトに比べて単価が高かったために、あまり売れなかったようです。

「機能性表示食品」の届出でGABAの効果を強調

シシリアンルージュハイギャバは「機能性表示食品」として届け出を行い、2024年11月に受理されました。

機能性表示食品とは、「〇〇の成分が含まれるため、△△の効果があります」など健康に役立つ機能性を表示することができる食品のことです。一般的に「〇〇の効果がある」などという表記は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律/薬事法が改正されたもの)で禁止されていますが、機能性表示食品の届け出を行えば、特定の健康機能を表示することができます。ただし、トクホ(特定保健用食品)は国による審査が行われますが、機能性表示食品では届け出る事業者が必要なエビデンス(科学的根拠資料)を提出するだけで審査はなく、表示も事業者の自己責任で行われるものです。

さて、シシリアンルージュハイギャバは、含まれるGABAによって①血圧が高めの方の血圧を下げる、②仕事や勉強による一時的な精神的ストレスを緩和する、③睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)の向上に役立つ、④肌の弾力を維持し肌の健康を守るのを助ける、などの機能があると届け出されました。

この届け出以降、販売サイトでもその機能を全面に押し出していますが、スーパーなどに対しても同様の売り込みを行ったのかもしれません。その結果2024年春頃から、関東圏を中心にシシリアンルージュハイギャバを販売するスーパーが増えてきたようです。一時販売を中止していた成城石井でも、販売を再開していました。

店頭販売用のパッケージにも、「機能性表示食品」であることと、「GABAの働き」として「血圧」「ストレス」「睡眠」「肌」などの単語が目立つように印刷されています。

消費者団体からの質問状

このような状況を鑑みて、日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは、シシリアンルージュハイギャバの販売が確認された販売会社(スーパー)6社と青果問屋1社に2024年6月に質問状を送付しました。

その質問内容と回答は日本消費者連盟のウェブサイトで公開されています。

【質問状】ゲノム編集トマト及びその加工品の販売についての要請・質問状
【質問状】ゲノム編集トマトの取扱いについての要請・質問状
【回答】ゲノム編集トマト及びその加工品の販売についての要請・質問状に対する回答
【回答】ゲノム編集トマトの取扱いについての要請・質問状への回答

明治屋はゲノム編集食品に対する消費者の懸念は知らなかったとしながらも、すでに取り扱いを止めたと回答。ナリタヤは、回答時点では「今後の取り扱いは検討する」としていましたが、後日、電話で確認したところ仕入れを中止することにしたようです。一方、ワイズマート、成城石井と青果問屋の大治からは「回答しない」との回答がありました。

さらに、2024年9月には、熊本や佐賀のスーパーでもシシリアンルージュハイギャバの販売が確認されたとの情報があり、それらの販売企業にも同様の質問状を送付しています。また、成城石井には再度質問状を送付しています。
【質問状】ゲノム編集トマトの販売についての要請・質問状(株式会社イズミ宛て)
【質問状】ゲノム編集トマトの販売についての要請・質問状(ゆめマート熊本宛て)
【質問状】ゲノム編集トマトの販売についての要請・質問状(成城石井宛て)
【回答】ゲノム編集トマトの販売についての要請・質問状への株式会社イズミからの回答
【回答】ゲノム編集トマトの販売についての要請・質問状への株式会社ゆめマート熊本からの回答

スーパー「ゆめタウン」を展開するイズミとそのグループ企業であるゆめマート熊本からは、「昨今の健康志向の高まりを受け、GABAが豊富な商品として取り扱いを行っておりましたが、販売数量の減少に伴い取り扱い店舗数も減少したことから、10月初旬の納品を最後に販売を終了」との回答がありました。成城石井からの回答はありません。

ゲノム編集トマトの販売調査にご協力を!

このようにゲノム編集食品が街のスーパーで自由に買える国は、世界中で日本だけです。
ドイツの研究団体「Testbiotech」は、「CRISPR tomatoes now on the shelves(クリスパー・トマトが店頭に並ぶ)」というタイトル日本の状況を伝えて、欧州でも表示を義務化しないと同じような状況に陥ると警鐘を鳴らしています。

現在、ゲノム編集トマト「シシリアンルージュハイギャバ」の店頭販売が確認されているのは、東京・千葉・神奈川です(前述のように、熊本・佐賀での販売は中止されたようです)。
それ以外の地域での販売は確認されていませんが、今後、いままで扱っていなかった地域や店舗でも販売が行われるかもしれません。

そこで、みなさんにお願いです。

もしゲノム編集トマトの販売を見かけたら、その情報を下記のフォームからお知らせください。

また、その際、販売棚のプライスカードやポップに「ゲノム編集」であることがわかるように書かれていたかどうかもご確認ください。これまで確認された事例では「機能性表示食品」であることは強調されていても、「ゲノム編集」であることは表示されていませんでした。ゲノム編集トマトのことを知らない消費者は、なんとなく「健康によさそうだ」という印象で、ゲノム編集食品を買わされているのかもしれません。

◆情報提供フォーム:ゲノム編集トマト商品の販売状況調査

スーパーへの注意喚起も

まだ、ゲノム編集トマト「シシリアンルージュハイギャバ」を販売していないスーパーには、消費者の声を届ける工夫をしたいと思います。

「お客さまの声」を集める店内の投書箱やウェブサイトに、「ゲノム編集食品は売らないで」とみなさんの声を届けてください。

消費者が望まない商品を積極的に売ろうとするスーパーはないでしょう。
ぜひ、みなさんの声を届けてください。

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