今回は気になる情報が入りましたので、共有させていただきたいと思います。
筑波大学で国の助成を受けて開発されたゲノム編集トマトがサナテックシード株式会社により販売が9月から始まっています。しかし、販売はオンライン販売の微々たるもの、と思っていたら、そんなことではないようなのです。
サナテックシード株式会社は昨年12月から市民のモニターを募集し、4000人の市民ボランティアに苗が配られました。そのことを通じて、同社はゲノム編集食品を支持するコミュニティができたとして、それをさらに広げて、来年から障がい児介護福祉施設に苗を無償配布、さらには2023年には小学校に苗を無償提供して、子どもたちがこのトマトを育てるようにしていきたい、と言っているのです(竹下 達夫パイオニアエコサイエンス株式会社/サナテックシード株式会社 代表取締役会長の『サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現』シンポジウム10月22日での発言)。(1)
今、ほとんどゲノム編集食品の危険に関する報道は行われていないため、介護施設や小学校側も危険性を考えずに、無償提供されるのなら、ということでゲノム編集トマトの苗の提供を受け入れる可能性もあるでしょう。子どもたちはトマトを育てることに夢中になるでしょうし、収穫したトマトを食べることになるでしょう。その子どもの経験でその家庭をゲノム編集トマトを受け入れる方向に変え、市場も受け入れる方向に変えていくことがこの無償配布の目的であるのかもしれません。世界ではゲノム編集食品は市場の拒否にあって増えていないのが現状であり、その市場の「抵抗感」を取るのが最大の目標であると考えられます。(2)
ゲノム編集トマトを食べたから直ちに健康障害などが起きるということはないかもしれません。しかし、従来の遺伝子組み換え食品が始まる時も、遺伝子組み換え企業が「遺伝子組み換え食品は従来の食品と実質的に同等だ」という安全神話を振りまきましたが、世界で最も遺伝子組み換え食品の消費量が多いと思われる米国では、遺伝子組み換え食品普及後、アレルギー、糖尿病、さらに深刻な慢性疾患で苦しむ人が遺伝子組み換え食品が拡大すると共に、大きく増加し、人びとは遺伝子組み換えでないというラベルのついた食品を買うように市場が大きく変わってきています。
体に影響が出るのには時間がかかりますし、出てから治すのはとても大変であり、その意味で安全性の確証されないものを予防原則で避けることが重要になってきます。
今回のゲノム編集トマトはそのような長期的な影響についてまったく調べられておりません。その影響が不明なものをこれからの体を作る途上で無防備の子どもに食べさせることにつながるプランに対しては、強い違和感と不安を感じざるをえません。
今回の小学校へのゲノム編集トマトの苗の配布は学校給食で使うというものではありませんが、収穫されたトマトは子どもたちの口に入ることはほぼ確実でしょう。将来的に学校給食への採用も道を開いてしまうかもしれません。
今、全国各地でより安全な食にするために学校給食を有機にしようという運動が急速に拡がっています。台湾では遺伝子組み換え食品を学校給食に使うことは禁止されていますし、日本でも愛媛県今治市では禁止する条例を作っています(3)。ゲノム編集食品も同様に規制・禁止すべきという声は今、世界でも広がりつつあります。この動きはそれに逆行するものです。
予防原則の見地から、この無償配布をやめるようサナテックシード株式会社に声を届け、また全国の小学校、教育委員会がそのような危険が予想される苗の無償配布を受け入れないように早急に取り組む必要があるとわたしたちは考えます。
そこで以下のようなことを私たちは考えました。
- 障がい児介護施設や小学校に懸念を伝える。学校の先生や管理栄養士の方に懸念を伝える。
- 各地の教育委員会に申し入れを行う。あるいは手紙や電話で懸念を伝える。
- 学校給食にゲノム編集食品を含む遺伝子組み換え食品を使わせない条例作りを地方議会に求める。
- サナテックシード株式会社に小学校へのゲノム編集のトマトの苗の配布計画を撤回することを求める。また介護福祉施設に栽培させる計画も中止を求める。
- オンライン署名に参加する(終了しました)
(このオンライン署名では[お名前(都道府県・任意で市町村名)]という形で提出をします。提出先はサナテックシード株式会社とパイオニアエコサイエンス株式会社、そして教育委員会。メールアドレスは提出しません。個人情報は抑えつつ、でもしっかり反対する人が存在していることがわかるように示していきたいと思います)
もし、これならできる、というものがあればで結構ですが、できるところから考えていただければとても幸いです。
また、OKシードプロジェクトでは、なぜゲノム編集食品が問題か、科学的な研究に基づいてその問題点を明らかにしたガイドブック(64ページ予定)を作成中です。年内にみなさまに活用していただける形で現在、作業中です。ご期待ください。
(1) 『サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現』シンポジウム
https://www.cps-supercrop.jp/ms_symposium_2021-10-22/
9月8、9日に行われたGENOME EDITING WEBINAR SERIESでも明言しています。
https://www.savorthestates.org/policy/genome-editing-webinar-series-september-8-and-9-2021/
https://sanatech-seed.com/ja/20210909-1/
(2) 世界でゲノム編集食品は市場の拒絶で普及が進んでいないのが現実だと考えられます。米国でゲノム編集大豆を作ったCalyxt社は栽培が始まる前の2017年には株価が27ドルを超す時もありましたが、今は3ドルを割り込んでいます。英国政府もゲノム編集食品を解禁する政策を打ち出しましたが、市場からの拒否で腰砕けになっているのが現状です。
(3) 今治市食と農のまちづくり条例
「第7条3項 市は、学校給食の食材に遺伝子組換え作物及びこれを用いて生産された加工食品を使用しないものとする。」
https://www.city.imabari.ehime.jp/nourin/tisan_tisyo/jyorei.pdf
サポーター説明会11月29日
サポーターの方を対象とした第2回目の説明会を以下の日程で開催いたします。Zoomを使ったオンラインの学習会となります。
内容としてはゲノム編集とは何か、今、日本の現状、世界の現状はどうなっているか? そして今後どうしていくべきかを考えます。
サポーター登録をしていただくと、説明会の参加案内方法の情報が届きます。
[内容]
ゲノム編集食品の問題点となぜOKシードマークが必要か?
説明:印鑰 智哉(OKシードプロジェクト事務局長)
みなさんからの質疑・提案
【オンライン署名を呼びかけるプリントを作成しました】
11月3日追記
広めやすくするため、オンライン署名を呼びかけるチラシを作成しました→ 署名を呼びかけるチラシ
こちらはPDFで作成していますので、ダウンロードして印刷することができます。ご活用いただければ幸いです。
下に表示されている画像のデータもご利用ください。どうぞよろしくお願いいたします。