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遺伝子解析はこの間、急速に進みましたが、個々の遺伝子がどんな機能を持っているか、まだまだわからないことが多いのですが、このゲノム編集の技術を使って遺伝子を破壊することにより、特定の機能が失われます。そのことで、その遺伝子が持っている機能を知ることができます。そのため研究室の中では有用な技術であり、ノーベル化学賞も受賞しました。
しかし、この技術を使って、ゲノム編集した生物を環境中に出すことには大きな問題があることが指摘されています。なぜなら、その操作プロセスを見ると、従来の遺伝子組み換えと大きく変わらず、さまざまな問題が発生することが想定できるからです。その生物を環境中に出すことで取り返しのつかない被害が生まれることが考えられますし、食品としての安全も確認されておらず、人びとの健康にも影響を与える可能性があります。
ゲノム編集は「正確に遺伝子を編集できる」と政府や推進企業は説明していますが、実際には狙っていない遺伝子も破壊したり(オフターゲット)、一部の遺伝子の破壊に伴って大量の遺伝子破壊が起きるケースがあることが報告されています。
また、ゲノム「編集」という名前になっていますが、実際に行われるのは特定の遺伝子を破壊するところまでであり、その後、どうなるかは実は生物まかせ、運任せであり、[編集」にあたることは行われていません。狙い通りの遺伝子が破壊されたとしても、その後の変異ではかなりの確率で想定外のタンパクが作られることも報告されています。
実験室の外に出すことは現状ではすべきではない技術だと言えます。
ただ、従来の遺伝子組み換え生物の場合、外来の遺伝子を挿入して、その遺伝子をずっと機能させることに対して、現在、流通しつつあるゲノム編集生物の場合は、その生物が持っていた遺伝子を破壊するために外来の遺伝子を入れます。そして、その遺伝子の破壊が終わった後はその挿入した遺伝子は不要になります。そこで戻し交配を使って、挿入した遺伝子を取り除くことになります。
従来の遺伝子組み換え生物と異なり、ゲノム編集生物の場合は遺伝子が破壊されますので、そこで従来の遺伝子組み換え生物には生じなかった問題が生じる可能性も指摘されており、また挿入した遺伝子も残ったままとなっているケースも報告されています。
そのため、古いGMOも新しいGMOもしっかり規制しろ、というのが世界の市民の声です。
しかし、ゲノム編集による遺伝子破壊は自然界で起こるものとは異なり、検出は可能であると研究者は指摘しており、2020年9月にもその最初の例が発表されており、今後、方法が確立できるかもしれません。
現在も遺伝子組み換え食品でも検出が難しいケースとして加工食品があります。日本では油やお酢などでは原料に遺伝子組み換えのものを使っても検出が難しいということで、現在も表示義務が課されていません。しかし、日本では表示していない同じ企業がEU諸国に輸出する時は、遺伝子組み換え原料を使っていることを明記して売っています。EUでは食品加工プロセスの中で遺伝子組み換え原料を使った場合には書かなければならないルールになっているからです。
原料を種苗までトレースできればゲノム編集を使ったか使わなかったかを確認できますので、表示制度は確立可能で、実際に、食品表示義務を求める署名運動も現在、行われています(日本消費者連盟:種苗への遺伝子操作の表示を求める署名)。
種苗は食の流れの大元ですので、まず種苗に表示することから始める必要があります。収穫物にも使った種苗を根拠に表示することが可能であり、また加工食品の場合でもその原料が確認できる場合は表示が可能になります。
ただし、「遺伝子組換えしていない」という表現は現在の食品表示法にもとづく食品表示基準によって、大豆、トウモロコシなど8種類の農産物及び33加工食品群を使っている場合のみ表示が認められており、それ以外の農産物に表示をすることは禁止されています。
なお、「No! GMO」という表示は、遺伝子操作に反対する意志の表明ですので、すべての種苗、農産物・食品に表示可能です。
ゲノム編集食品についてアレルゲンが発生しないことも確認したという説明がされることがありますが、それは既存のアレルゲンと同じものがないことを確認しているだけで、新たなアレルゲンが生まれていないかは実験しないとわかりません。しかし、現時点では実験例は公開されていません。
狙っていない遺伝子を破壊してしまうオフターゲットの場合はもちろん、ゲノム編集により想定通りに遺伝子が破壊されたオンターゲットのケースでも、実際には想定とは異なるタンパクが作られたケースも報告されていますので、アレルギー、自己免疫疾患などの原因となりうることは想定せざるをえません。
また、ゲノム編集された家畜ではゲノム編集によってガン抑制遺伝子を抑えてしまうため、発ガンしやすくなる可能性も指摘されています。
これらの懸念に対して安全性を裏付ける研究調査は存在しないというのが現状であり、安全性は確かめられていないと言わざるをえません。
この方法による遺伝子操作は現在は遺伝子組み換えとして扱われています。従来の遺伝子組み換え同様に問題を引き起こす可能性は十分あり、その規制を続けるべきですが、今後、遺伝子を加えていないとして規制を外される可能性もありえます。RNA干渉ゲノム編集による人為的な遺伝子操作による種苗・食品に対して、OKシードプロジェクトは反対します。これらの形態の種苗・食品にもOKシードマークを貼ることはできません。
種苗表示、食品表示用
種苗を生産・販売される方、そして収穫物や加工品を販売される方の場合は、こちらの申し込みページから使用規程に同意の上、使用登録申請を行ってください。
また、商品カタログ、雑誌、看板などに使用されたい場合、同様に使用規程に同意の上、使用契約申し込みを行ってください。グッズなどを作りたいという時は連絡フォームからご相談ください。
インターネット上の使用
SNSなどインターネットで拡げたい、学習会で使いたい場合はこちらから使用規程に同意の上、必要な画像をダウンロードしてください。
OKシードマークはゲノム編集などの遺伝子操作の有無をはっきりさせるために生まれました。有機JAS検査認証制度のような、第三者認証機関による検査・審査を経た上での認証とは異なります。また、有機農産物か否かに関わるものではありません。
現在は国際的な基準を定めたコーデックスガイドラインでは有機認証において「遺伝子操作/遺伝子組換生物(GEO/GMO)により生産された全ての原料又は製品は、有機生産の原則に適合しない」ため、 「使用が認められない」としており、農水省も2020年12月10日にその規定に沿って「ゲノム編集技術により生産されたものの流通が可能である現在、有機JASにおいてこれらを原材料等に使用できないよう規定を明確にする」という方針を出しています。
しかし、2021年5月現在、具体的にゲノム編集をどう扱うかについて、諸外国の動向を見ながらということで、検討中となっています。
農薬の使用の有無については種苗表示でご確認ください。
しかし、現在の日本の食品表示制度では「遺伝子組換えではない」という表示には大きな制約があり、限られた食品だけにしか許されていません(コラム参照)。
ゲノム編集でないと同時に「遺伝子組換えでない」という食品表示にしてしまうと、使えるケースがきわめて限定されてしまいます。一方、ゲノム編集された作物は種類を問わず、今後、さまざまなものが出てくることが予想されており、すべての種類の作物に表示することは法的に可能であり、表示していくことが望ましいです。
そこで私たちは、「ゲノム編集でない」という表示を軸に、その上に「No! GMO」という態度表明を重ねることにより、従来の遺伝子組み換え食品を含むすべての遺伝子操作に反対する意志を表明することにしました。 「Non-GMO」という表示は規制の対象となりますが、「No! GMO」は態度表明であり、規制の対象ではないからです。
以上の理由から、OKシードマークは「遺伝子組換えではない」「Non-GMO」を示す食品表示マークにはできない法制度的制約があるものの、これを活用することで、遺伝子操作されていない食を守ることを進めることができます。ぜひOKシードマークを活用して、遺伝子操作全般に対する意思表明をしていきましょう。
この範囲に含まれない農産物、加工食品群では「遺伝子組換えでない」という表示をすることは禁止されています。たとえば稲に遺伝子組換えではないと表示することは日本では食品表示法違反となってしまいます。世界には遺伝子組み換え稲はすでに存在しているのに。政府が遺伝子組換え稲の流通を認めてから急いで表示を始めるのでは遅すぎることになってしまいかねません。
さらにこの遺伝子組換え食品表示が大きく変わろうとしています。「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」等の表示ができるのは、これまでは適切に遺伝子組換え農産物との分別生産流通管理行われ、さらに遺伝子組換え農産物の意図せざる混入が5%未満に抑えられていることとされてきましたが、この意図せざる混入は2023年4月から0%に引き下げられます(消費者庁:遺伝子組換え表示制度に関する情報)。
大豆など海外からの輸入に多くを依存する農産物の場合、意図せざる混入はしっかり管理することで1%未満に抑えることが可能であることが知られており、諸外国でも1%未満程度とする国が多かったことから、日本でも5%から1%未満への基準の引き上げを消費者運動が求めてきましたが、今回の日本政府の表示制度の変更は混入を0%、つまり、一切認めない制度に変えます。こうなると、実質的に「遺伝子組換えでない」表示をした食品の流通はきわめて困難になってしまい、近い将来、日本では遺伝子組換え食品表示が実質的に崩壊してしまうことが危惧される状況になっています。
このような状況の中、あらゆる遺伝子組換え食品に反対するNo! GMOという意志表明をするのがOKシードマークということになります。
ただ、消費者に問題を同じように理解してもらうことが重要になります。そのためには目指していることがしっかり伝わるような工夫が必要になるでしょう。そして、そうした懸念を持つ市民が拡がっていることを知ってもらう必要があります。ぜひ、あなたの取り組みを知らせてください。お互いに拡げ合いましょう。一番、趣旨を拡げることができる方法で拡げていきましょう。
また、世界各地に遺伝子組み換えフリーの認証マークが存在しています。たとえば米国のNon-GMO Project、NSF NON GMO、Moms Across America Gold Standard、ドイツのOhneGentechnik/VLOG、オーストリアのARGE Gentechnik-frei。これらの認証規格団体はゲノム編集も遺伝子組み換えと同等に扱う方針です。ですからこれらのマークがついた食品はゲノム編集されていないことが期待できます。
ただし、レストランやカフェで、次のようなOKシードマークの使い方(Q.13〜Q.16)はできます。
料理の食材すべてがOKシードマーク表示可能な根拠がある場合は、その料理全体を示すメニューにマークを付して表示することができます。
店頭で野菜果物をジュースにして提供するジューススタンド等も同様です。個々の食材にマークを表示することができるし、食材すべてがマーク表示可能である場合は、そのジュースにOKシードマークを表示、または、メニューに表示することができます。
食材すべてがOKシードマーク表示可能な根拠がある場合は、その持ち帰り料理等の全体にマークを付して表示することができます。
◎遺伝子組み換えの可能性がある食品と添加物についてお伝えします。
日本で許可されている遺伝子組み換え作物は、8品目で、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、菜種、てんさい、アルファルファ、パパイヤ、綿(これは食品ではないので考えなくてもよい)です。
これらは、現時点ではすべて輸入農産物であり、家畜の飼料に使われたり、食用油や醤油・味噌、液糖、食品添加物などに加工されて加工食品として販売されています。
(※なお、栽培も許可されていますが、国内栽培は2021年11月時点ではありません。遺伝子組み換えジャガイモの輸入はありません。)
輸入の大豆の93%、トウモロコシの89%、菜種の89%が遺伝子組み換えというのが現状です。サラダ油、天ぷら油は、ほとんどが遺伝子組み換えの種子を搾ったものです。国内で非遺伝子組み換えの原材料を搾った油には一部に限られています。例えば、平田産業、米澤製油等です。
次に、遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシで作られている加工品や添加物をご紹介しておきます。
・果糖ブドウ糖液糖
・異性化液糖
・水あめ
・でんぷん
・デキストリン
・アミノ酸
・醸造酢
・醸造用アルコール
・たんぱく加水分解物
・乳化剤
これらの加工品、添加物に「遺伝子組み換え」の表示義務はありません。
わからない時は、メーカーに問い合わせると、教えてくれます。問合せをすることにより、そのメーカ―も、ゲノム編集や遺伝子組み換えが世の中に受け入れられていないことを知る機会になります。運動の具体的行動だと思って頑張りましょう。