【たねまきコラム】なぜSeedおじさんは、たねを蒔き続けるのか。 〜ローカリゼーションデイ日本2026を終えて〜

たねまきコラム
今年も6月に「ローカリゼーションデイ日本2026」がオンラインで開催されました!

今年、全体の実行委員や総合司会も務め、分科会①「希望のたねを蒔こう!〜Sow The Future〜」のモデレーターでもあった、富士山麓シードバンクの「Seedおじさん」こと鈴木一正さん。
今回のたねまきコラムでは、Seedおじさんが、ローカリゼーションデイ日本2026を振り返ります。
なぜ、たねを蒔き続けるのか? なぜ、ローカリゼーションなのか?
分科会の中で語り尽くせなかった「想い」を綴ってくださいました。

なぜSeedおじさんは、たねを蒔き続けるのか。
〜ローカリゼーションデイ日本2026を終えて〜

先日、農業新聞の一面を見て、しばらく言葉が出ませんでした。
「基幹的農業従事者 100万人割れ」
日本の人口は約1億2千万人。
その中で、農業を主な仕事としている人は、ついに100万人を下回りました。
国民の100人に1人もいない。
しかも、その平均年齢は67.7歳。
数字だけを見れば、一つの統計です。
でも、畑に立つ一人として、その数字は胸に重く響きました。
この国は、本当に、この先も食べ続けていけるのだろうか。
そんな問いが、静かに心に浮かびました。

Seedおじさんは毎日、畑に立っています。
たねを蒔き、
野菜や穀物を育て、
たねを採り、
また翌年、そのたねを蒔く。
西洋ミツバチと共に生き、半径2キロほどの世界を飛び回る彼女たちを眺めています。
その姿を見ていると、いつも思うのです。
命は、小さな世界の中で豊かに循環している。
一方で、人間はどうでしょう。
世界中から食べ物を運び、
世界中から燃料や肥料を運び、
巨大な流通システムの上で暮らしています。
スーパーへ行けば食べ物は並び、
コンビニへ行けば、いつでもおにぎりが買える。
だから私たちは安心してしまいます。
でも、
食べ物が「ある」ことと、
食べ物を「生み出す力」があることは、同じなのでしょうか。

そんな問いを抱えるようになった頃、
私はヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんが長年伝え続けてきた
「グローバルからローカルへ」
という言葉に出会いました。
最初は、経済の話だと思っていました。
でも、畑に立つようになって分かったのです。
あれは経済の話ではなく、命の話だった。

遠くで大量につくり、
遠くへ大量に運ぶ。
効率と成長を追い求める一方で、
地域の農業が減り、
商店が減り、
人と人との顔が見えにくくなっていく。
いつの間にか私たちは、
生きるために必要なものを、
遠い誰かと巨大なシステムに預ける暮らしを「あたり前」にしてしまいました。

だから私は思います。
ローカリゼーションとは、昔へ戻ることではありません。
世界とのつながりを断つことでもありません。
それは、
「生きる力を、自分たちの足元へ取り戻していくこと」。
食べ物を地域で育てる。
地域の農家から買う。
たねを採り、
次の世代へつなぐ。
地域でお金を回す。
子どもたちを地域で育てる。
困った時には支え合う。
そんな当たり前の営みを、
もう一度取り戻していくことだと思うのです。
そして、今の私なら、こう言葉にします。
ローカリゼーションは、世界を小さくすることではない。
足元から、世界を豊かにしていくことだ。
遠くとのつながりを否定するのではありません。
まず、自分たちが暮らす地域を豊かにする。
その豊かな地域と地域がつながることで、
世界もまた豊かになっていく。
それが、ヘレナさんが語り続けてきた「グローバルからローカルへ」の本当の意味なのだと、私は思っています。

危機が来てから、
「畑を始めよう。」
「たねを蒔こう。」
と思っても、
土は一晩では育ちません。
たねを採る知恵も、
地域のつながりも、
必要になった瞬間には生まれません。
だからこそ、
平和な今だからこそ始める意味がある。
一億二千万人が農家になる必要はありません。
でも、一人ひとりが、
自分なりの**「希望のたね」**を持つことはできます。
一坪の畑でもいい。
プランターひとつでもいい。
たった一粒のたねを蒔くことで、
世界の見え方は変わります。
私自身が、
そうだったからです。

今年もローカリゼーションデイが終わりました。
司会を務めながら、
全国で同じように地域を想い、
未来を想う仲間と出会えたことが、
何よりうれしく感じました。
ローカリゼーションは、
流行ではありません。
遠い理想でもありません。
私は今、
未来を生き抜くための知恵だと感じています。
Seedおじさんに、
世界を変えることはできません。
でも、
小さなたねを蒔くことはできます。
たねは、小さい。
だけど、
未来を豊かに変える力を持っています。
その一粒が芽を出し、
地域へ広がり、
やがて地域と地域がつながっていく。
私は、その未来を信じています。
グローバルからローカルへ。
未来は、
遠い誰かがつくるものではなく、
私たち一人ひとりの足元から始まる。
だから今日も、
私は畑に立ちます。
未来へ、希望のたねを蒔くために。


ローカリゼーションデイ日本2026では、9つの分科会すべてをアーカイブで無料視聴できます。
ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんの基調トークをはじめ、日本各地で実践する多くの仲間たちの取り組みを、ぜひご覧ください。

ぜひ、あなたの、あなたなりのローカリゼーションを見つけてみてください。

◆ローカリゼーションデイ日本2026
https://peraichi.com/landing_pages/view/localizationdayjapan2026

Seedおじさん 🌱

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