市民の熱気あふれる集会! 12月6日「『表示して!ゲノム編集食品~地方から国に声を届けよう~』市民集会」の報告

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■市民の熱気あふれる集会■12月6日「『表示して!ゲノム編集食品~地方から国に声を届けよう~』市民集会」の報告

 2024年12月6日に衆議院第一議員会館で開催された集会は、その集会名の通り、「ゲノム編集食品の表示をしてほしい」という意見書を、各自治体から国にあげてもらおうという目的がはっきりとした集会でした。定員50名の会議室は満杯になり、オンラインでも300人が参加し、熱気に溢れていました。

 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの原英二さんから、ゲノム編集食品の届け出状況などの概要、消費者庁がゲノム編集食品を表示しない理由に「自然界の突然変異と変わらないことと、ゲノム編集したかどうか検査できないから」を挙げていること、しかし、事業者は原料を調達する過程があるので、社会的検証による表示は可能であるが、それを拒否していることなどのお話がありました。

 
「各地の経験から学ぶ」では、3名の発表がありました。

 1人目は、東京都小金井市の元市議の東京・生活者ネットワークの田頭祐子さんからで、2019年に「ゲノム編集技術などの遺伝子操作技術の規制と表示を求める意見書」が、2024年に「ゲノム編集食品の表示を含めた消費者への情報提供の在り方等について検討を求める意見書」が議会で可決されるまでの活動の発表でした。ここで、可決の条件が、自治体によって全員一致でなければならないところと、多数決のところがあること、小金井市は、多数決で通ることと、自民公明が過半数でないことが、勝因であったということでした。

 2人目は、しずおかオーガニックウェブ・ゲノム編集食品表示プロジェクトの馬場利子さん。かつての遺伝子組み換え食品の表示を求める意見書の成功体験をもとに、講演会、署名、有効な議員さんの意識を変え、可決に持っていくという流れで一気に成功に導くことができたということです。静岡県と静岡市は、全会一致でないと通らないところなので、特に気を付けたのは、ゲノム編集の良し悪しではなく、「表示」に焦点をあてたところです。まず、2023年9月、自民党県議による意見書の提出で静岡県議会が全会一致で採択されたのを皮切りに、2024年3月に富士市議会、富士宮議会、浜松市議会、6月に焼津議会、7月に静岡市議会、9月吉田町議会と次々に採択されました。吉田町議会だけは、全員一致のルールではなく、多数決であったため、反対数2名がありましたが、可決されました。発起人の馬場利子さんから、①地域で意見書を採択してもらうために、市民が請願や陳情をする時間や合意が取れない場合、議員提案で動いてもらう方法が有効であること、②ゲノム編集食品の表示に関して、静岡県では、安全性の議論ではなく、消費者の権利として、「知る権利と選ぶ権利を守る」点をシンプルに意見書に表記するようにすること、というアドバイスをいただきました。私は古くからの友人としてそばで見ていて、彼女のスピード感と明瞭な作戦と分かりやすい主張が、常にみんなを動かし成功に導くのだと思います。

 3人目は、生活クラブ生協北海道の理事である山崎栄子さんから、札幌市議会から2019年と2023年の2回にわたり、国への意見書が採択され提出された経緯の説明がありました。生活クラブで作成した「すべてのゲノム編集食品の規制と表示を求める」となっていた

原案は、3名以上の会派でないと議案として出せない制限があるので、民主党の市民連合に協力してもらい、「ゲノム編集技術応用食品の必要な情報提供等の在り方について検討を求める意見書」と自民公明から賛成を得られるような柔らかい表現にして採択に漕ぎつけ、2019年10月国に提出されました。引き続き運動の歩みを進めるため、2023年3月には「ゲノム編集技術応用食品の食品安全性審査の実施や表示を含めた消費者への情報提供の在り方について改めて検討を求める」という下線部分を加えた意見書を可決し、国に提出することができたそうです。意見書の中身は希望を表現する必要がありますが、可決に向かって妥協点を見出しながら、できるだけ多くの自治体から国に提出することが有効だと思いました。

 質疑応答の時間に、浜松市の方から、全会一致でなければ採択されない静岡の浜松市議会を通すに、最大会派の議員の中から理解者を探して働きかける必要があるという方針で動いたところ、その条件を満たす自民党の市議が見つかったこと、この意見書が、静岡県議会ですでに採択されていることが大きな後押しとなり、浜松市議会を全会一致で通すことができたという報告がありました。

 最後に、OKシードプロジェクトの原野好正さんから、地方議会で「ゲノム編集食品表示の義務化」の意見書採択への道の学習がありました。意見書の効果は、必ずしも国や省庁を動かすわけではないが、国会で質疑の参考資料になったり、遺伝子組み換えの表示義務化の成功事例は、当時の自治体の半数ちかくの1600議会からの意見書が提出されたことに関係があると考えられる。では、地方議会から国会に意見書を提出してもらうには、どういう方法があるかというと、①議員に問題点を伝え、学習会や署名などで住民の意向を伝え、議会に議案をして提出してもらう方法、②議会に住民から提案をする方法で、紹介議員がいる場合は請願を、いない場合は陳情を委員会で可決させ本会議に出してもらう方法とがあることなど、いくつかのパターンを学びました。また、今日発表された3つの例にもありましたが、過半数で採択される自治体、全会一致でないと採択されない自治体などの事情に合わせて、作戦を考える必要があること、意見書や請願には、すでに採択された自治体の市民活動のひな型があるので、それを活用するとよいことなど、まとめてアドバイスをいただきました。

 以上、この市民集会は、各地の市民団体が、自分の所属する自治体から国に意見祖を提出してもらうための、非常に具体的で有効な情報共有の場になったと思います。

(報告:中村陽子)

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